250に続いて600、そして900へとホーネット拡大
ホンダは1996年、車名に排気量を表示しないHORNETをリリース、250ccの新型ネイキッドだったがタイヤサイズをワイドでロープロファイル扁平のビッグバイクと同じサイズとするなど、排気量の序列を取り払って最新バイクを楽しんでもらおうという発想の展開をはじめた。
この250でもビッグバイクと同サイズのタイヤはインパクトで、多くのファンの注目を集めたが、車体のメインフレームのモノバックボーンという角断面の太いパイプで構成する大胆なレイアウトも凄かった。
そしてこの車体をほぼそのままに、CBR600Fのエンジンを搭載したホーネット600が1998年にリリースされた。
599ccのCBR600Fエンジンをフロントハンガーを変更して搭載、キャブレター口径で36→34φと絞り低中速域のレスポンスを優先するなど、国内仕様は69PS/1,1500rpmと5.3kgm/7,500rpmとマイルドで扱いやすく、大型免許が必要な国内でも評判の機種となった。
主要マーケットであるヨーロッパでも、このシンプルでフレッシュなデザインと共に人気となり、これに気を良くしたホンダはバリエーションの拡大をはかることになるのだが、なぜか国内向けの400版は登場せずじまい……。
ホーネットコンセプトも拡大解釈となり純ネイキッドから変化も
いかにも新しい世代のネイキッドのスタイリングが最大の特徴だったホーネット。しかしヨーロッパのツーリングアベレージから、小さなカウルを装着したSモデルが2000年に加わり、国内でも同年からリリースされる。
そして2001年にはご存じ900ccバージョンという、まさかの250シャシーにCBR900エンジンを搭載した頂点がデビュー!
とはいえバックボーンの角パイプの肉厚を増やし剛性を高めたりの小変更はあったが、250でスタートした排気量概念を捨て去るコンセプトを実践してみせたのだ。
その後600ホーネットは、2003年にフロントフォークを倒立タイプへとグレードアップ、2007年モデルでは特徴のひとつだったアップマフラーを一般的な位置へと変える仕様変更があったが、海外では最もメジャーな機種として大きな需要のまま推移していた。
対して国内では600cc需要は限られるため、輸出モデルのみでの展開となっていった。
実はヨーロッパでの人気は、スタイリングだけではなくその走りの良さも高く評価されていたのだ。
そうした海外での状況を知るにつけ、400ccバージョンが存在しなかった理由もわからないではないが、超人気機種とはいえスーパーフォアのみだった展開に、少なからず残念な思いが残る。