曲面構成から直線的なエッジを強調してボリューム感あるデザインに!
スズキの400ネイキッドで最もヒットしたのは3代目インパルス(Impulse)。
1981年にGSX400Fで4気筒戦線へ加わったスズキだったが、ハイメカニズムが前提の400cc4気筒では決め手に欠いた状態が続き、翌1982年にアップハンドル・ネイキッドでレーサーシートを装着してレースのイメージを重ね赤と黒にペイントしたインパルスをリリース、ようやく個性を感じさせるモデルの登場で人目をひくようになりはじめた。
しかしインパルスの車名は長続きせず、1986年にKATANAをデザインしたハンス・ムートによる新400ネイキッドがデビューしたときにこのインパルスが車名として再び使われることとなった。
しかし個性は強いというものの、さすがにマイノリティ過ぎてインパルスの車名は再び浮上しなくなった。
そんな車名インパルスの名を忘れかけた1994年、新世代ネイキッドの車名としてインパルスが復活したのだ。
それまでの間、スズキはバンディットというフレームのパイプを強調して曲面を多用したセンシティブなネイキッドを勝負球として投入したが、美しさがスポーツバイクのワイルドさを削いでみせるためか、いまひとつ人気が出ず。
そうした経験を踏まえ、新インパルスは燃料タンクを直線基調とするなど、硬派なイメージへとデザインを変え、そこへたたみかけるようにスポーツネイキッドでレースイメージを盛り上げるビキニカウルを装着したTypeSを加えたのだ。
これはスズキのレースカラーのブルーとホワイトのツートンとしたわかりやすさも手伝ってか、各社ネイキッドのブームへ戦略バイクを投じるなか、インパルスの存在感を示すことになった。
人気が定着しヨシムラカラーも加えイメージ強化をはかる!
実質バンディットの後継だった3代目インパルスは、直線と平面を感じさせるデザインで、全体に大柄にみせるこれまで性能本意で突き進んできたスズキには異例なチャレンジとなった。
さらに戦略上もアメリカAMAレースや鈴鹿8耐でのヨシムラとのコラボを想起させる、ブルーのツートンだけではなく赤と黒を纏うなど、メカニズムやパフォーマンスよりレースのヨシムラのようなマイノリティなイメージのアピールに注力したのだ。
しかし1999年にフロントブレーキをブレンボ製を奢るマイナーチェンジを経てから音沙汰がなくなり、2000年までは販売されたもののカタログ落ちで終焉かと思わせていたのが、何と2004年に大型のアルミサイレンサー装着に各種装備のアップデートをはかり復活を遂げたのだ。
そして2008年、初代GSX-FSインパルスを倣った赤黒のカラーリングで、燃料タンク上面にSUZUKIのロゴがあるGSX400 IMPULSE SPECIAL EDITIONをもって幕引きとなった。
初代と2代目が短命だったのに対し、実に14年ものロングランモデルとなった3代目のインパルス。個性派モデルとして多くのライダーの記憶に残り、依然として根強い人気がある。