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1972年に世界で量産されていなかった900ccのDOHC4気筒で大成功を収めたカワサキ。
満を持して一気に4スト化とマーケットリーダーを狙っていたのは、1976年にDOHC4気筒のZ650、そして同年DOHC2気筒のZ750TWINとラインナップを揃えてきたことからも明確だった。
中間排気量でよりポピュラーなクラスを狙ったZ650(後にザッパー、カッ飛びバイクと呼ばれた)はともかく、もういっぽうのZ750TWINは多くが予想しなかったカテゴリー。
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カワサキはZ1でフラッグシップ領域に鎮座することができた時点で、それまでのヨーロッパ製ビッグスポーツの定番人気モデルだった、英国のトライアンフやノートンにBSAなどビッグツインのカテゴリーに属してきたユーザー層を、同じ2気筒で奪い取ろうと画策していたのだ。
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そのため英国製ツインで評価されていた特性を盛り込み、エンジンはDOHCながらボア×ストロークが78 mm ×78 mmの745cc、このロングストローク2気筒は55ps/7,000rpm、6kgm/3,000rpmといかにも低中速域の回転で粘るチカラ強さを特徴としていた。
しかもクランクは360°位相で、バランサーを前後に2軸を駆動、当時の英国車がどれもまろやかな振動を感じさせない特性に倣ったチューン。
このためエンジンはクランクシャフトの前後がバランサーとチェーン駆動で膨らみ、横幅はスリムでも前後に大柄なフォルムとなっている。
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そこにはいまでいうツインのパルシブな鼓動と路面を刻むトラクションといった刺激はなく、穏やかないかにも旅好きのライダーが時の流れに身を任せる、そんな空気感の広告展開でフォローしていた。
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しかし日本製、それもカワサキのDOHCとくれば、パフォーマンスで他を寄せ付けない強烈なキャラクターを期待する層が圧倒的主流を占め、凋落を辿りはじめていた英国調のトラディショナルなンビッグスポーツには目もくれない、といった風潮でZ750TWIN(Z750Bと呼ぶ仕向け地もあった)は、注目を浴びないままが過ぎていったのだ。