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このバイクに注目
KTM
1290 Super Duke R
2021model

“THE BEAST(野獣)”KTMのハイエンドモデルは電子制御のサポートでフレンドリーに【KTM 1290スーパーデューク R インプレ】

Photos:
長谷川 徹

フルカウルのSSだけが最速のモデルとは限らない!

ハイスペックな電子制御やハイパワーエンジンは、もはやフルカウルのスーパースポーツ(SS)だけの特権ではない。少なくとも筆者(RIDE HI編集部・正田24歳)が免許を取得した2015年ごろには、(僕がハイエンドネイキッドの世界を知らなかっただけかもしれないが)SSこそがハイエンドモデルの象徴で、ハイスペックな電子制御とエンジンを搭載しているイメージがあった。
実際にKTMも2013年モデルまではフルカウルモデルのRC8を販売していたし、国産メーカーも矢継ぎ早に僕らの世代(20代)に向けたフルカウル小排気量モデルを発売し、フルカウルモデルの人気の高さとSSへの憧れを象徴していたように思う。

しかし、近年は各メーカーがネイキッドモデルに電子制御やハイパワーエンジンを搭載し、前面に押し出してきているようだ。
KTMの最高峰ネイキッドストリートモデル、1290スーパーデューク Rも近年のネイキッドモデルのハイエンド化を担う1台だ。

通称「THE BEAST(野獣)」と呼ばれるこのバイク。迫力のあるルックスに最高出力132kW、最大トルク140Nmの1,301ccエンジンは、その名の通りまるで野獣だ。

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フレームから各パーツに施された、いかにもKTMらしいオレンジのカラーリングが目を引く。ちなみにKTMの市販車は、オフロードモデルからロードモデルまで、すべてパイプフレームだ

刷新されたライドモードで手懐ける

野獣と聞いて乗りにくいんじゃないかと思う人もいるだろう。僕も少し警戒して挑んだがが、そんなことはなかった。先程も書いたとおりさすがのハイエンドモデル、電子制御によって乗りやすいモードが選択できるからだ。とはいえ、ただぬるいフィーリングになるのではなく、安全にビーストの片鱗を感じさせてくれるのである。

ライドモードはレイン、ストリート、スポーツ、トラック(オプション)の4種類。公道走行を楽しむならレインモードもしくはストリートモードが無難だろう。

レインモードでは、スロットルレスポンスが穏やかになり、トラクションコントロールも最大限で介入してくれる。滑りやすい路面の場合やスーパーデュークRに慣れるまではこのモードで走ることをおすすめしたい。

ストリートモードは、ツーリングや日常の走行に最適なモードで、出力はフルパワー、スロットルレスポンスは標準となっている。フルパワーだからといって危険ではなく、刷新された多くの電子制御によってストリート向けに制御されており、大は小を兼ねる余裕のある走りを提供してくれる。高速道路での追い越しも低い回転域からモリモリと加速して、あくまでもツーリングもこなせるストリートモデルだという好印象を与えてくれる。

スポーツモードとトラックモードは、基本的にサーキット走行を楽しむライダー向けのモードだと考えてもらって問題ない。電子制御の介入度合いを低くし、ライダーのテクニックを最大限に引き出す走りを提供する。ビーストの本領を発揮するライドモードではあるが、公道で使用するのはストリートモードまでで十分だ。

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車体が大きく重たそうに見えるが、ワインディングも軽快に駆け抜けられる軽快さを持ち合わせる

ハイパワーでも疲れないフレンドリーさを演出

実際に各モードを試してもらえばわかるが、スポーツモードやトラックモードはスロットルレスポンスも過激になってくるので、僕のようなスキルの少ないライダーでは神経をすり減らしながら乗ることになりそうだ。

しかし、レインモードやストリートモードは電子制御によってフレンドリーな印象を受け、ツーリングも難なくこなせる。
そして同クラスと比べて軽い乾燥重量189kgの車体。シート高は835mmと足着き性はそこまで悪くないが、軽い車体に助けられる場面も出てくるだろう。

KTMらしく洗練されたデザインにウキウキする

やっぱり、バイクに求めるものはそのルックスも大きい。どこのメーカーも近い価格帯でハイスペックなバイクを発売する昨今、やはりルックスがかなり大きな判断材料になっている。

いかにもKTMらしいオレンジを主とした配色や片持ちスイングアーム、肉抜きされた美しい前後ホイールなど、好き嫌いが分かれそうだが僕には刺さった。どうせバイクに乗るならかっこよくて少しでも目立つルックスが欲しい。そんなライダーにもおすすめできる一台だ。

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ヘッドライトはLEDでデイタイムランニングライトが日中の被視認性を高めてくれる。真ん中のスリットはラムエアインテークで、走行風を効率的に取り込む

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1,301ccLC8エンジンは最高出力132kW(約180ps)、最大トルク140Nmを発揮する

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存在感のあるマフラ−はライダーをやる気にさせるサウンドを奏でる。2つの触媒コンバーターがVツインエンジンの音と馬力を損なうことなく、排気を抑制する

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片持ちのスイングアームでスッキリとしたリヤ周り。美しいリヤホイールが際立つ

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タンクとサイドの樹脂パーツは特徴的な濃いグリーンのカラーリングでスーパーデュークらしさを象徴している。前モデルにもこのカラーリングは存在したのだが日本は未導入だった

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市街地からワインディング、サーキットとどこにいてもその存在感を発揮し、ライダーの所有感を満たしてくれる1台だ

SPEC

Specifications
KTM 1290 Super Duke R
エンジン
水冷4ストローク DOHC 75°V型2気筒
総排気量
1,301cc
ボア×ストローク
108×71mm
圧縮比
13.6:1
最高出力
132kW
最大トルク
140Nm
変速機
6速
乾燥重量
189kg
キャスター
64.8°
サスペンション
F=WP APEXφ48mm倒立
R=片持ちスイングアーム+WP APEX モノショック
ブレーキ
F=Bremboφ320mmダブル R=Bremboφ240mm
タイヤサイズ
F=120/70/17 R=200/55/17
シート高
835mm
燃料タンク容量
16L
価格
219万円
協力/ KTM ジャパン