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Royal Enfield
HIMALAYAN

【ロイヤルエンフィールド ヒマラヤ インプレ vol.1】過酷な環境を走り切るタフなヘビーデューティモデル

オンロードもオフロードも想定したロイヤルエンフィールド初のデュアルパーパスモデル「ヒマラヤ」の評価がジワジワと上昇している。ゆるキャラのような見た目とは裏腹に、その装備は本気のサバイバル仕様だ。

ロイヤルエンフィールドがラインナップするデュアルパーパスモデルが「HIMALAYAN」だ。少し前まで、カタカナ表記の時は「ヒマラヤン」とされていたが、現在は「ヒマラヤ」で統一されている。

アンケートやデータをしっかり取ったわけではないものの、このモデルに対するネガティブな声は極めて少ない。というか、これまで聞いたことがない。威嚇も威圧も感じられない見た目によるところが大きく、誰もがつい気をゆるしてしまう、愛玩的なたたずまいが魅力だ。

ネオクラシックではなく、リアルクラシックとして生き長らえてきたようなスタイルながら、その歴史は案外新しい。本国のインドや欧州で発表されたのは2016年のことで、日本へは2018年から導入を開始。味わい深い走りに対する評価が徐々に広まっている。

このモデルの開発スタートは、2010年にまでさかのぼる。ロイヤルエンフィールドの母体アイシャーグループのシッダールタ・ラルCEOがヒマラヤ地方のツーリングを楽しんでいた時のこと。滞在していた村が鉄砲水に襲われて立ち往生し、旅の中止を余儀なくされたそうだ。

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敵意のかけらもない、愛嬌のあるたたずまいが魅力。車体色には、スノーホワイト/スリートグレイ/グラナイトブラック/ロックレッド/レイクブルー(今回の撮影車両)/グラベルグレイの計6色がラインナップされている

豪華さよりも、いかに走り切るか

このことから、荒れた土地では「軽く、シンプルで、電子機器は最小限。ハイオクが無く、燃料にたとえ不純物が混じっても走れるバイク」が必要だと痛感。言い換えると、高性能になり過ぎた最新のアドベンチャーモデルは、悪環境下では機能しなくなることを、身をもって知ったという。

また、そうしたアドベンチャーモデルを駆るには、身長が180cm以上あることが望ましいが、インド人男性の平均身長は165cmほどである。そういうことも踏まえ、本当にユーティリティに優れるモデルの構想が練られ始めたのである。

開発には、ダカール・ラリーに参戦するCS・サントッシュ選手を筆頭とするエキスパートライダーも参加。また、イギリスでもプロトタイプの実走が繰り返された他、標高5602mの地点にある世界最高峰の自動車道(インド・ラダック地方)でもテストされた様子が、公式動画に収められている。

2015年にはラルCEO自ら、プロトタイプに乗って再びヒマラヤに滞在。一週間に渡る走行を通し、さまざまなデータがもたらされることになった。

Royal Enfield Himalayan | Built For All Roads. Built For No Roads. | What's your adventure?

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ニーグリップ部分がスリムに絞られた燃料タンクの容量は、15リットル

サバイバルを可能にする装備

ヒマラヤには、411ccの空冷ストロークSOHC単気筒エンジンが搭載されている。ともすれば、牧歌的な雰囲気で語られそうな形式だが、既述のエピソードを知ると違った印象に感じられる。つまり、そこにはあるのは可能な限り複雑な機構を廃止、条件が悪くなっても走り続けられるタフネスさが優先されたということだ。水冷だとなんらかのアクシデントでクーラントを失えばエンジンが始動せず、重量増も招く。

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シリンダーが垂直に立った空冷4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載。411ccの排気量から24.3bhp/6,500rpmの最高出力と32Nm/4,000-4,500rpmの最大トルクを発揮する。エンジンはセルスターターによって始動。燃料供給にはインジェクションを採用する

その一方、足周りに関しては単にシンプルであることをよしとしていない。特にリヤショックを見れば、それがよく分かる。トラベル量自体は180mmと特別ロングストロークではないものの、ロイヤルエンフィールド唯一のモノショックを装備し、リンクを介してスイングアームと締結。つまり、オフロードにおける走破性と安定性が優先されているというわけだ。

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φ300mmのシングルディスクとバイブレ製の2ピストンキャリパー(ABS付)を組み合わせるフロントブレーキ。21インチのホイールには、ピレリのブロックタイヤMT60が装着されている。φ41mm正立フォークのストローク量は200mm

辺境の地でのトラブルは、リアルに生死にかかわる。それに備えた対策が、ヘッドライトと燃料タンクをガードするように取り回されたパイプステーだ。これはプロテクターとしての役割を持つだけでなく、本国仕様では予備燃料や水用のタンクを懸架するステーとして機能。利便性というよりも、いざという時のためのサバイバルツールとして装備されているのだ。

車重は199kgを公称する。補修が容易なスチールパーツを多用しているため、特に軽量なわけではないが、800mmというこのカテゴリーのモデルとしては異例に低いシート高がそれをカバー。重心が低いことも手伝って、取り回しも引き起こしも手応えは軽い。

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ボトムリンク式のモノショックを装備。プリロード調整が可能で、180mmのトラベル量が確保されている。ステップのラバーは必要に応じて取り外し、ブーツとのグリップ力を高めることができる

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タフさを感じさせる装備の筆頭が、ヘッドライトやスクリーンの支持も兼ねる燃料タンクガードだ。エンブレムの裏にはナット用の穴が設けられ、工夫次第で荷物の搭載や固定に活用することができる

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Vol.2では、実際のインプレッションをお届けしよう。

協力/ ロイヤルエンフィールド東京ショールーム

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