レプリカと一線を画したスズキの歴代ネイキッド
スズキの400ccネイキッドは、美しいパイプを組み合わせたBANDITにはじまり、INAZUMA(1997年)では敢えて油冷の新作エンジンを開発、そして人気だった3世代目のIMPULSE(2004年)と、時代の寵児レプリカからフレームを流用せずオリジナルで構成するこだわりを受け継いできた。
そして硬派IMPULSEが人気で好調だったにもかかわらず、海外向けにミドルクラス・ネイキッドとして開発したGSR600とベースを共用したGSR400を2006年にリリースして置き換えたのだ。
スズキにとってネイキッド専用のアルミ・ツインスパーフレームは初。
そしてテールへ2本のサイレンサーをアップマフラーとしてデザイン性のオリジナリティをアピール。
当初からカラーバリエーションも取揃え、新たなネイキッド世代を標榜した意欲を漲らせていた。
ただ、これほどオリジナリティにこだわっていても、なぜか国内ファンへは強くアピールできず、リリース当初は意外にも地味な存在にとどまっていた。
輸出用GSR600はオリジナリティをアピール!
対して輸出用GSR600は、ミドルクラスが大排気量のレーサーレプリカのコストダウン・イメージから750ccクラスと共に色褪せてきたタイミングで、新たにミドル・クラス専用のスポーツ・ネイキッドをアピールするにはもってこいの状況だったのだ。
キャッチコピーも、GSX-R600からの最新レーステクノロジー、低中速域を高めた実用性アップとレーサー血統のハンドリングに快適性、さらには革新性を感じさせるNewデザイン……と、まさにユーザーが求めていたドンピシャリのマシンであるとアピールしていた。
このコンセプトは評価されマーケットでの人気を得ていたが、ニーズの微妙な変化に対応して750ccのGSR750が2011年にリリースされ、GSR600は僅か5年でその役割をバトンタッチしてしまった。
排気ガス規制クリアで61ps/12,000rpmへパワーアップ!
対して国内仕様のGSR400は、2009年に新たな排気ガス規制へ対応し、自主規制の撤廃もあって何とエンジンが61ps/12,000rpmへとパワーアップされたのだ。
外観的にはメーター上のカバーが、ミニスクリーンとして装着され、後期型と判別できるポイントとなっている。
400ccネイキッドクラス初の32ビットECM制御によるフューエルインジェクションシステム、メッキシリンダーの採用や独自のSDTVなど最適な燃焼を得るテクノロジー投入で、低速から高速まで力強いトルクと優れたスロットルレスポンスで、街乗りからワインディングまで扱いやすさとスポーツ性が高いレベルにあった。
こうして国内仕様のGSR400は2018年まで生産を継続、実に12年以上のロングラン・モデルでもあった。