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このバイクに注目
YAMAHA
BT1100 BULLDOG
2001model

ヤマハMTにラインナップされなかったBT1100Bulldog!【このバイクに注目】

1,000ccを越えるビッグな空冷Vツインのネイキッド・スポーツを発案したのはイタリア・ヤマハだった……

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かつて1995年に日本国内ではリリースされなかったSZR660というシングル・スポーツを、イタリア・ヤマハが企画・開発したのに続き、2001年に同じイタリア・ヤマハで空冷1100ccVツインのビッグ・ネイキッド・スポーツを企画・開発していた。

ベースとなったのはXVS1100ドラッグスターの空冷75°V型2気筒。
このアメリカン・クルーザーをシャフト駆動もそのまま利用し、ヨーロッパの街中やツーリング・シーンにフィットする、穏やかなネイキッド・スポーツとしたのだ。

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折りしも1999年に、ヤマハは東京モーターショーでXV1600 Road Star Warriorに搭載する1,600ccの空冷48度VツインのMT-01のコンセプト・モデルをリリースしていた。
同じVツインのビッグ・ネイキッドでも、Vバンクの角度も異なる路線でふたつのバイクが投入されることになった。

MT-01の際立つ個性とプレミアム感ではなく、ベーシックに乗れる親しみやすいビッグツイン・ネイキッドがBT1100のコンセプト!

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2001年、Bulldog(ブルドッグ)の車名を与えられたBT1100は、シャフト駆動でわかるように穏やかな乗り味を前提としていて、もちろんドラッグスターの鼓動やビッグトルクを継承していたが、スポーツ性は敢えて抑えたキャラクター。
空冷1,063ccの75°Vツインは47.8kW(65.0PS)/5,500rpmと最大トルクが88.2Nm(8.99kgfm)/4,500rpm、車重はシャフトドライブもあって250kgとズッシリ感があるスペックとなっている。

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それまでヤマハでは、ビッグネイキッドというと水冷FZ系か空冷XJ系の4気筒エンジン。
スポーティな路線ながら、パフォーマンスで光るFZ系、もしくはやや穏やかなXJ系というレンジだったが、このBT1100 Bulldogで朗々と75°のビッグVツインを流すように走る世界へと拡げたのだった。

インパクトの大きなMT-01のデビューで、存在感を失い短命に……

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こうしてイタリア・ヤマハが狙った穏やかビッグツインのネイキッド路線は、MT-01が実際にマーケットへ投入されると、BT1100はその存在をかき消されてしまう運命となってしまった。

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MT-01同様、カスタムの習作もリリースされたが、Bulldogの大きくて重い車格がネガティブな要素となったのか、肝心のイタリアでも思ったほど売れ線モデルとならず、排気ガス規制を契機に生産を終了、少量でも輸入されていた日本国内でも2008年に販売終了を迎えることとなった。

ヤマハのMTシリーズに連なるモデルとはならなかったが、イタリア・ヤマハが掴んでいた強過ぎない個性で穏やかに乗れるビッグVツイン・ネイキッドのニーズは、あらためてこのフォルムを眺めていると、これからのほうがむしろ必要なのかも知れないと思わせるモノがある。