10数年ぶりに前傾姿勢の強いセパハンのスーパースポーツに乗ってみたいと思い、奮起。
しかし、どう乗ったらいいかまるで分からず……前傾に対する苦手意識は消えません。
こんな私はやはりネイキッドにしておくのが妥当なのかも……と少し悩んでいます。
進化しすぎて、驚かれるのも無理はありません
あまりの前傾のキツさに驚かれたと思います。それに軽くて手応え足応えもまるで伝わってこない……同じような話をよく聞きます。
この違和感に包まれたままで走らせたら、たとえば車体を寝かせてカーブを曲がるという基本動作を、どこをどう操作したら良いかさえ掴めず、バンクもできずにソロソロと走らせるしかなかった、そんな感じだと思います。
でも、最新のスーパーバイクは、モードが選べ、トラクションコントロールやABSなど久しぶりに乗る年配ライダーでも安心のフェイルセイフ。これなら乗れそう……そんな思いを巡らせての購入ではないでしょうか。
しかし、ちょっと乗っただけで驚きのほうが大きく自信喪失。無理もありません。でも諦めないでください。
そこでまずおっかなビックリ乗らないための入口ノウハウを伝授しておきます。
ちょっとした工夫で手応えが出ます。ひとつずつ試してみましょう
最新のスーパーバイクはコンパクトで、前後にも小さいため、ハンドルが経験したこともない手前に位置した状態となります。
これが、上半身がハンドルに覆い被さる姿勢にします。ただでさえハンドルで体重を支えてしまう前傾ポジションのご法度が、上からハンドルに体重を載せてしまうさらに厄介な状態を生むのです。
なので、まずシートの後ろに着座してください。そして上半身を起こし気味にしつつ背中を猫背に丸めます。首も引っ込めて上目使いに前方を見る、そんなイメージです。
お奨めは脊椎パッドを着用して、もしくはウエアに内蔵してあったらそこに背中を圧着させるイメージです。猫背なので言葉として寄りかかるというのは分かりづらいでしょうが、背中の下から腰にかけて背当てに上半身を預ける、といった感じです。
これでハンドルからチカラが抜けます。
カーブを曲がるシーンでは、アウト側の太股から膝に足首まで、軽く力んでみてください。そしてアウト側の膝でちょっとだけリーンする側へ押します。大したバンク角にならなくても、このちょっとプッシュしただけで、バイクが旋回して曲がり始めるはずです。
もちろん慣れてきて走り込んだら、身体の重心をイン側の低い位置へ意識して移動させるライディングに変えるべきですが、最初はこんな感じで操ってください。
軽量でコンパクトな車体は、ハンドルとかライダーが部分的に接している箇所に入力する必要などなく、ちょっとした重心変化でリーンできますが、昔のビッグバイクに慣れていたらかえって掴みドコロがない感じに陥りやすいかもしれません。
ツーリングでは、大袈裟に車体を寝かさなくてもこの方法で意外なほど曲がってくれます。それと曲がろうというタイミングで、視線だけでなく頭ごと曲がっていく先の方へ向けましょう。徐々にではなく、曲がるゾという瞬間にです。
そして少し気持ちが落ち着いたら、立ち上がりでエンジンの超低回転域を使ってやや大きめにスロットルを捻ってみてください。さすがに飛び出すトルクはないので心配は要りません。後輪が路面をグイッと蹴る感触が伝わると思います。ただし受け身で成り行きまかせでいれば、エンジン回転数が上昇して強力な加速がはじまってしまうので、サッサとシフトアップをお忘れなく。
ホホー、これがトラクションかぁ……少しでもそう感じたら、あなたは前傾バイクを楽しめると思います。
さらにショップに相談して、サスペンションいちばん柔らかい状態にしてもらうのもアリです。
バイクはスーパースポーツだけじゃありません
それでも、バイクがどちらへ向かっているのか、それさえ感じられないままでいたら、車体の動きやエンジンのレスポンスが穏やかなネイキッドをお薦めします。
長距離長時間を走りたいなら、ツーリングスポーツや近年ブームのアドベンチャーにもぜひ試乗してみてください。クイックにコーナリングする以外では、いまこのカテゴリーのほうが人車一体感が大きかったりします。
一般的にバイクの車体の動きは、歩いたり座ったり何かを持ち上げたり、そんな人の動きの速度に近いほうが安心できて乗りやすく感じます。
スーパースポーツは、まさに走ったり身を翻したりのスポーツするときの素早さへの挑戦と変わりません。
どっちが良いか、今は試乗車を用意しているショップもたくさんあります。
レンタルバイクも良いでしょう。試乗しながら好みのバイクを確認なさると良いと思います。
国内外メーカーを問わずスーパースポーツはスリムでコンパクト
近年のスーパースポーツは、跨ってみると驚くほどスリムでコンパクト。そのため、ツーリングペースであれば、大きくバンクせずとも、ちょっとした重心変化を与えるだけで、スッとリーンしてくれる
猫背のように身体を丸めシートの後ろに座る
装着した脊椎パッドの丸みに沿うように、背中をパッド側へ圧着するイメージの姿勢が、いわゆる猫背の状態。シートの後ろ寄りに座り、上半身の重さは背中下部から腰あたりにかかるようにすると、上半身やハンドルからも力が抜ける
近年のスーパースポーツは驚くほどよく曲がる
非常に軽量でコンパクトだから少しの入力でしっかり曲がっていく。カーブではアウト側の太腿から足首まで軽く力み、リーンの際に膝で少しプッシュ。慣れてきたら身体の重心をイン側の低い位置へ移動させていこう