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ピレリタイヤのテスト部隊や開発陣はMC狂【ピレリ・ジャーナル Vol.3】

モーターサイクル用ピレリタイヤが進化する過程は、研究所において多くの経験、シミュレーションなど可視化技術を駆使しながら開発目標の性能を創り出す。これは多くのメーカーで行われるプロセスだ。新製品が生まれる過程でピレリがとてもユニークなのはテスト部隊が行う徹底した実走テストだ。

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多様なテスト環境に恵まれたシチリア島で鍛えられる

その本拠地があるのは、ピレリの本社があるのはイタリア北部のミラノからはるか遠い、シチリア島。
ここはこの地中海でも最大の面積を持つ島。なぜ、ここでテストを行うのだろうか?
その理由は年間を通じてオートバイでの走行が可能な気候であり、島の地形、自然がもたらす様々な地形、路面の変化もあげられる。

なかでも、島の玄関口とも言えるカターニアの北側にそびえる活火山、エトナ山。その周辺を回る道では風に吹かれて路上に出た火山灰が滞積するなど、テストコースでは再現しにくい「環境」にも恵まれているのだ。
また、あちこちに点在する古い市街地には石畳の道が豊富に存在し、乗り心地のテストはもちろん、磨かれた表面は雨が降れば滑りやすくウエット性能を試すのにもうってつけ。

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休日も趣味のバイクで遊び倒す、飽きることのない人たち

ほかにも、島の北部海岸には海風を受けながら進む高速道路もあり、直進性はもちろん、横風などのファクターが加わったときに見せる挙動も確かめることができる。また、かつて行われていた公道ロードレース、タルガフローリオが巡る広大なコースでは、起伏が激しいアスファルトの道も残る。また、エンデューロの最高峰レースの一つ、ISDEを開催したルートや、モトクロストラックはもちろん、路面が荒れエスケープも少ない超ハイスピードな島内にあるローカルレーストラックも彼らにとっては格好のテストエリアとなるのだ。
つまり、シチリアにはテストに必要な要素がギュッと詰まっているのである。

なにより、こうした道で実走テストを行うライダーたちが筋金入りのバイク狂ばかり。趣味でロードレース、オフロードレースを楽しむライダーも多く、その戦歴を聞くとハイエンドアマチュア、というよりプロフェッショナルなスキルを持つライダーも少なくない。その中にはイタリアのモトクロス選手権で、40歳以上のライダーのクラスで連続してチャンピオンを獲得しているライダーもいるほどだ。

世界のバイクメーカーに知られたサルヴォさん

そうしたテスト部隊を束ねる長、サルヴォ・ペニージ氏。彼は妥協なき物作りをする現場の責任者でもあり、彼がタイヤの性能に満足しないと製品が世に出ない、といわれるほどのキーマンだ。

自身の深いタイヤへの知識、また、ロードレース経験をはじめ、どんなタイプの路面、バイクでも乗りこなすスキルをもとに、幅広いジャンルを俯瞰するテストデパートメントの責任者に相応しい人だ。
実走を重んじることで得られる完成度、そして次へのアイデアなど、ピレリタイヤが常に進化する大きなバックボーンに、ミラノと共働するシチリアのテスト部隊の存在は欠かせないのである。

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年間の走行距離は100万キロを超えるというテストライダーたち。
その実走テストの中では季節、気温、天候などの日常要素や、長い走行時間のなかで変化するライダーのメンタル面まで加味しタイヤの印象をテストしている。その並々ならぬ情熱を注ぐタイヤテストの先には我々ユーザーがモーターサイクルライフ深く楽しめるよう据えられているのは言うまでもない。
実はこれがピレリ流なのだ。

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協力/ ピレリジャパン