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Z1からZX-25Rまで! 独自路線を突き進むカワサキの強さ

カワサキには他の国産メーカーにはない芯の強さがある。だからこそ往年の名車たちは他のメーカーよりも元気に走り続けているのだろう。近年のNinja H2Z900RSNinja ZX-25Rも他メーカーにはないオリジナリティに溢れている

カワサキだけ違って見えるんだけど……

以前、ある欧州のメーカーの開発者に聞かれたことがある。
「日本車の中でもカワサキだけはちょっと違って見えるんだ。日本人はどう感じているの?」

僕は「日本車の中でもカワサキは異質……」そう答えると「やっぱりね」という反応だった……。

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Z1

世界最速のバイクをつくる! それはわかりやすいがとても高い目標だった。それを達成したZ1があったからこそ、その後のZもブームになっていったのだろう

1972年にZ1が登場して以降、このティアドロップタンク(涙の水滴をイメージさせるカタチ)にアップハンドルを組み合わせた、今はネイキッドと呼ばれるこのスタイルが新たなるコンベンショナルとなった。アップハンドルのスーパースポーツ=カワサキがスタンダードという時代が続いたのだ。

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Z1000R

Z1000R は、AMAのシリーズタイトルを獲得したエディ・ローソンが駆ったZ1000Jのレーサーレプリカ

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Z1000S

Z1000Rと同じく1982年に登場した市販レーサーのZ1000S

カワサキ以外のメーカーはハイパワー化により、カウリングなどウインドプロテクションを装備しはじめるバイクもあったが、カワサキはどこまでも逞しさを強調。アメリカのAMAスーパーバイクが市販車をベースとするレギュレーションになったこともあるが、アップハンで豪快に攻める「男カワサキ」のイメージは世界中に定着していった。

エディ・ローソンが駆ったZ1000Jをベースに登場したZ1000Rことローソンレプリカはその象徴だろう。ライムグリーンのカラーにビキニカウルを纏い、そのスタイルはその後の様々なカワサキのバイクに継承された。

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Z1R

Zは丸いフォルムから角ばったフォルムになっていく。1978年にZ1Rが登場した

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Z1000Mk.II

1979年にZ1000Mk.IIが登場。現在では「丸Z・角Z」と呼ばれることも。Zは各モデルに熱狂的なファンが多い

ゼファーがネイキッドという言葉を生み出し、新たな潮流に!

1980年代、世間は空前のレーサーレプリカブームとなるが、それが一段落した頃に、Z1をイメージしたカウルを装着しないバイクとして、ゼファー400を登場させたのもカワサキだった。
当たり前のカタチをしたゼファーが「ネイキッド」という新しいカテゴリーを生み出した。効率や性能を追い求めて過熱したレーサーレプリカブームとは正反対の流れだが、それがブームになるのに時間はかからなかった。すべての国産メーカーが追従した。いま思えば、ネオクラシックブームのハシリともいえるだろう。

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ZEPHYR

400、750、1100すべてがロングセラーとなったゼファー。Z1を知らない新しい世代がブームを築き、今ではかなりのプレミアバイクになっている

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ZRX1200 DAEG

初期の1100はZ1Rカラーで登場したZRX。その後1200になり、インジェクションの1200DAEGに進化していった

ゼファーはそれからしばらくネイキッドブームを築き、そのカテゴリーのリーダーだったカワサキは750、1100を空冷ビッグネイキッドとしてラインナップ。水冷になってもこのカテゴリーはGPZ900RとZRXシリーズがリード。ローソンを知らない世代がライムグリーンのバイクを駆った。

これからはどんな独創的バイクが登場するのだろう!?

日本メーカーの中で、パフォーマンス以外でこうした影響を及ぼすのは、カワサキをおいて他にない。250ccのフルカウルスポーツバイクブームを築いたニンジャ250R、そして現在のZ900RSにもそれは当てはまる。スーパーチャージドエンジンを搭載したH2シリーズや250cc4気筒エンジンを搭載するNinja ZX-25Rもそうだ。迷いのない独自路線がファンの心を掴む。

また、コンストラクターやパーツサプライヤーがカワサキに熱中しているのも他のメーカーにない独特の感性だろう。「他と同じじゃ嫌」そんなカワサキファンのこだわりにしっかりと応えているのだ。

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Ninja H2

スーパーチャージドエンジンをパイプフレームに搭載するNinja H2。レーサーNinja H2Rは310psを発揮。スーパーチャージドエンジンは、後にネイキッドのZ H2やツアラーのH2 SXに派生していく

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Z900RS

カワサキはブームにするのが上手い。最近それを強く思わされたのがZ900RS。新しいネイキッドのカタチを一瞬でブームにしてしまった

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Ninja ZX-25R

この時代に250cc/4気筒をリリースする。まず、その志が凄い。その半端は許されない、妥協しない姿勢がユーザーにもきちんと伝わっている。それはZ1から受け継がれた精神なのかもしれない

協力/ カワサキモータースジャパン