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- Vol.1 「ツインファンを大切にするドゥカティ」 本記事
- Vol.2 「ドゥカティツインの鋭さに夢中!」
「Lツイン」と親しまれてきたドゥカティのエンジンが「Vツイン」に改められた。その第1号車がパニガーレV2だ。パニガーレV4のデザインを踏襲し、ツインエンジンを搭載するスーパーバイクカテゴリーのトップモデルである。
2018年、ドゥカティのスーパーバイクであるパニガーレは伝統のL型2気筒からV型4気筒になった。翌年、SBKのホモロゲーションモデルもV4Rになり、このままドゥカティは4気筒になっていくのか……そんな不安を抱いたファンもいたかもしれないが、ドゥカティはツインファンに向け、開発の手を緩めることはなかった。
それを確信させてくれたのがここで紹介するパニガーレV2だ。
ドゥカティで初めてV2の名を冠することになったパニガーレV2
これまでのLツインでなく、V2という車名が採用されていることからそのエンジンユニットや車体構成がガラリと変わった? と思う方がいるかもしれないが、パニガーレV2のベースは2019年モデルの959パニガーレ。
実はエンジンやフレーム、ガソリンタンクに大きな変更はなく、748時代から続くスーパーミッドコンセプトを、排気量を拡大しながら引き継いでいる。
エンジンの幅よりも狭いフレームが生み出すスリムさはドゥカティならでは。シート前端は特に絞られているのがわかる
ずっとLツインと呼ばれていたのは前シリンダーが地面に対し平行に近いカタチでフレームに搭載されていた時代からの名残りだ。最近は車体設計の自由度を上げるため、前輪と車体を近づけエンジン搭載角はどんどん起きてV型になっていたのである。
実は2012年に発売された初代パニガーレである1199の時からこのV型といえるエンジン搭載角度が採用されている。
車名をV2としたのは、ドゥカティがスーパーバイクを新しい時代に進めるための覚悟、そしてスーパーバイクがV4時代になった今もツインを大切にしていくという意気込みなのだと思う。
ミッドコンセプトと言いつつも、排気量は955cc。スーパーバイクとして登場した851はもちろん916の排気量を超え、リッタークラス並の性能を備える。レースをターゲットとせず、単純にスポーツライディングを追求したモデルといえる。
ニューカラーのホワイト。差し色のレッドの入り方はドゥカティならではのセンス
独創的な車体構成。メインフレームはエアボックスも兼ねる
メインフレームは4.2kgしかないアルミ鋳造のモノコック。それはエアボックスも兼ね、さらにタンクの底面がエアボックスの蓋を兼ねる。車体構成は部品点数を減らす合理的な考えで、極めてシンプルだ。
アルミツインスパーフレームのようにエンジンの両脇にフレームがないため、その車体はとてもスリム。さらにコンパクトな設計のため、ハンドリングが軽くなる。
ミドルクラス待望の片持ちスイングアームは、エンジンにマウントされたアルミのブロックにボルトで締結。このエンジンをフレームの一部と考える車体思想もドゥカティらしい。
ミドルクラスにもドゥカティのアイデンティティともいえる片持ちのスイングアームが採用された。マフラーも片持ちスイングアームを活かすデザインに。リヤタイヤの180/60サイズはエアボリュームを稼げる扁平率で、スポーティなフィーリングに貢献
車体左側にモノショックをマウント。ステーを介してエンジンにマウントする。リンクも独特の配置だ
派手なグラフィックがなくても成立する造形美
ドゥカティのフルカウルモデルのデザインは、ある意味とてもシンプルだ。派手なグラフィックを施さなくても成立している。それでいて、いかにもドゥカティ、いかにもイタリアンという存在感を主張してくる。
フロントカウルやテールカウルのデザインは、パニガーレV4を踏襲し、V4の特徴であったデュアルレイヤーカウルはスリムさとエアロダイナミクスを両立している。
ツインスポーツのフラッグシップ、それがパニガーレV2だ。
他メーカーにない独自のエンジンや車体構成がツインスポーツの極みといえるドゥカティらしいバランスを見せてくれる。
Vol.2ではそのインプレッションをお届けしよう!
フロントカウルやテールカウルのデザインはパニガーレV4を踏襲。初代V4の特徴であったデュアルレイヤーカウルはイタリアンデザイン特有の美しさを見せ、派手なグラフィックがなくてもその個性を主張。これが所有欲をくすぐる
パニガーレの顔に新たな雰囲気をもたらすニューカラー。面のデザインを丁寧につくり込み、独特の表情をつくり上げる