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このバイクに注目
HONDA
VTR1000 SP-1/SP-2
2000~2003model

VTR1000Fとは別系統で開発されたホンダ最強VツインVTR1000 SP-1とSP-2【このバイクに注目】

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HONDA

世界のSBKレースで打倒ドゥカティの急先鋒として開発をスタート!

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2000年、ホンダはVTR1000 SP-1もしくはRC51(アメリカでの呼称)の投入をスタートした。
ホンダは過去、VFR750R(RC30)→RVF750(RC45)とV型4気筒で750ccクラスを圧倒してきたが、2気筒であれば1,000ccが可能な優遇でドゥカティに後塵を拝するようになり、その挽回を期して自らもVツインで闘うこととしたからだ。
実は既に1997年からホンダ初の1,000ccVツイン、VTR1000Fが存在したが、そもそもレースのベースモデルを前提にしていないため、ドゥカティ勢に対抗するためには、ほぼ全面的に開発をやり直す必要があった。

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エンジンはVTR1000Fがボア98mm×ストローク66mmだったのに対し、SP-1はボア100mm×ストローク63.6mmと全くの別モノ。
DOHCの気筒あたり4バルブを駆動するのはカムチェーンではなくお得意カムギヤトレインも含め新設計された。
まずはワークスマシン、VTR1000SPWを開発、完成してからスーパーバイク出場に必要な市販車としてのホモロゲーション・バイクを生産するという経緯を踏んでいる。

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とくにフレーム関係では、VTR1000Fがいわゆるピボット・レスだったのに対し、SP-1は貫通したピボット軸がメインフレームと一体構成と大きく異なる。
VTR1000Fのピボット・レス構成は、スイングアームがエンジン後部でマウントされ、メインフレームと直結していない構成。ピボット部分の剛性をやや落として僅かだが生じる撓みを、ライダーがグリップ感など路面の情報を得やすくするスポーツ・ツーリングとしての配慮からだ。
SP-1は、これまで経験のなかった強大なパワーと猛烈なトルクで路面を蹴るため、剛性確保にエンジン後部のスイングアームのピボット軸が貫通しているのと、その両外側からメインフレームが挟む、凄まじく堅牢な構造としている。
また2灯ヘッドライトの真ん中に、エアクリーナーボックスへ導入するエアスクープを持ち、フレームを貫通する内側ダクトに車速に合わせ開閉するフラップを設けていた。

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果たしてVTR1000 SP-1(形式名:SC45)は、世界のレースを破竹の勢いで制する独壇場としてしまったのだ。
アメリカのAMAデイトナからヨーロッパではスーパーバイク世界選手権、さらにマン島T.T.でも圧勝、鈴鹿8時間耐久をはじめ耐久選手権でも無敵を誇った。
ただRC30などと違い、VTR1000 SPはハンドメイドに近い限定生産ではないため、価格を抑える素材や強度などで乾燥200kgとRC30/45系より若干だけ重くなっていた。

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しかし、これほどレースで勝つことを目標に開発されたマシンは、プロライダー並みのスゴ腕でないと乗りこなせないと思わせる面も多く、そのスパルタンさに大人気なマシンとまではいかなかった。
とはいえレース参戦は多くの改善点を見出していくことになり、2002年のSP-2ではフレーム剛性に対し撓みが出る程度まで落とし、スイングアームもバネ下軽減と剛性確保を両立した形状へと新設計するマイナーチェンジとなり、サスペンションも一般公道向けにソフトな仕様へ改良を施していた。

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価格はSP-1が9,999USドル、SP-2となっても12,000ドルを下回るバーゲンプライス。
2002年にはVTR1000SP-2のオーストラリア仕様をベースに、国内ロードレースでスタートしたJSB1000クラスへの参戦を目的としたレースベース車が849,000円と破格値で10台が販売された。

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しかしその後のレギュレーション変更で、VTR1000SP-2はレース出場ができなくなるという短命に終わり、スーパーバイクは直4のCBR系が担うこととなって現在に至っている。
純粋にレーシングマシンのために開発されたプロトタイプを、市販車として手に入れられる、そんな孤高のマシンを大切にする海外ファンは少なくなかった。