kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_main.jpg
このバイクに注目
KAWASAKI
350SS 400SS KH400
1971~1982model

2スト3気筒をエンターテイメントとして楽しませたKH400!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

2ストローク3気筒サウンドと他にない個性で1982年まで販売!

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_01

1969年にカワサキは世界進出への先駆けとして、250ccのA1や350ccのA7を発展させた2ストロークで、何と3気筒の500ccマシンをリリース。
その名もマッハIIIというトップスピード200km/h、0-400mを12秒で駆け抜け、スロットルを全開にすると瞬く間にウイリーする、まさしく怪物マシンだった。

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_02
kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_03

続いて1971年には350ccにスケールダウンした350SSが登場、ユーザーの多い中型クラスでは唯一の3気筒として日本国内へも攻勢をかけてきた。
ボア×ストロークは53×52.3mmの3気筒346ccは、45PS/8,000rpmに4.25kgm/7,000rpmと超パワフル。
ピーク域の高回転まで回すと、500ccマッハIIIを彷彿とさせる強烈なダッシュをみせた。
この勢いで世界へカワサキの名を一気に轟かそうと、ビッグバイクでは初の4スト900cc4気筒のZ1をリリース、さらにそれまでの看板モデルだったマッハ系には2スト3気筒シリーズとして750ccのマッハIV、350ccのマッハII、そして1972年にはラストバッターの250ccマッハIを投入したのだ。

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_04

ただ350ccの中型クラスは、既に4ストエンジンのスポーツモデルもあって、低中速域の扱いやすいトルクとを比較されると、ピーキーな2ストロークに手が出にくい状況となっていた。
ただ120°クランクで均等爆発する2スト3気筒は、そのエキゾーストノートが独得。3気筒の排気音が共鳴してウに濁点のつくヴォ~といった中速域から、ピークの高回転域ではギョ~ン!と何とも形容しがたい魅惑的なサウンドを響かせ、この個性の強さに惹きつけられた潜在的なライダーが増えつつあった。

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_05

そこで350のボアを57mmまで拡大した400ccバージョンの400SSが1974年に登場。
ピークパワーを41PSまで落とすかわりに、中速域からレスポンスのよい乗りやすさを重視したエンジンへと変貌を遂げたのだ。
そうなると120°クランクのまるで振動のないスムーズさも高評価で、ライダーに優しい印象がビギナーにも人気となった。
2スト独特の潤滑オイルが燃えてかなりの白煙を吐くのだが、これもサウンドと共に個性のひとつとして語られるようになりはじめた。

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_06

その後、400SSはKH400へとモデルチェンジ、ピークパワーをさらに削ぎ落として乗りやすさを増し、ビギナーでも親しめる2スト3気筒ならではの個性というムーブメントも定着、KHの形式名を「ケッチ」と呼び、それまでのピーキーだった3気筒とは別モノと区分されてきた。

kawasaki_350ss_400ss_kh400_20250109_07

とはいえ、日本だけでなく世界はもちろん4ストロークが主役で、マッハのKHシリーズはマイナーな存在となっていった。
それでもKH400とKH250は、他にない2スト3気筒という希少価値からニーズが急激に落ち込むことはなく、1982年までカタログに残り、以降も中古車マーケットでの人気は衰えることなく続いている。