マッハIII(500)から750・350・250と2スト3気筒は4クラスへ展開！
1969年にカワサキは世界進出の勝負球として、500ccで2ストローク3気筒のマッハIIIをリリース。
トップスピード200km/h、0-400mを12秒で駆け抜け、スロットルを全開にすると瞬く間にウイリーする、まさに超速モンスターマシンは世界中から注目を浴びていた。
この勢いに世界へカワサキの名を一気に轟かそうと、いっぽうで初の4スト900cc4気筒のZ1を準備しつつ、看板のマッハには2スト3気筒シリーズとして750ccのマッハIV、350ccのマッハII、そして1972年にはラストバッターの250ccマッハＩを投入したのだ。
先ずはヨーロッパと日本で発売になった250SSは、350の車体にボア45mm×ストローク52.3mmの249cc3気筒を搭載、32PS/8,000rpmと3kgm/7,000rpmのパフォーマンス。
たださすがに低い回転域ではスロットルのレスポンスも鈍く、5,000rpm以上回さないと走らない非力な感じが否めなかったが、250ccでは世界初の空冷2ストローク3気筒エンジンはたちまち大人気。先行していた350を凌ぐほどになった。
2ストローク3気筒は、120°クランクの均等間隔で爆発するため、柔らかい独得の排気サウンドを奏でる。
さらに120°クランクは振動もなく、ライダーに優しい印象でビギナーにも好評。かなりの白煙を吐くのだが、街中のアチコチでたなびく煙と匂いを嗅ぐことが増えた。
他にないルックス、サウンドで250の3気筒はファンが後を絶たず！
その後、350は400へ排気量アップ、前輪のドラムブレーキをディスクへと換装したKHシリーズとしてマイナーチェンジを重ねていく。
とはいえ、日本だけでなく世界はもちろん4ストロークが主役で、マッハのKHシリーズはマイナーな存在となっていった。
ただKH250だけは、他にない2スト3気筒が250ccクラスということもあって、依然として人気は衰えず。
グラフィックも時代に応じたカラフルな展開となり、カワサキのメーカーカラーとなったライムグリーンも加わって生産が継続されていた。
そして1980年モデルが最終型となったが、惜しむニーズに応え1982年までカタログには掲載されるという人気を誇った。
2スト3気筒の120°間隔で爆発する、高周波と低周波が混ざった独得のサウンド。機械的に感じさせない柔らかい振動が織り成す他にない感性に、いまもハマるライダーは少なくない。
