海外のミドルクラス向けネイキッドとして開発
1989年、カワサキがリリースしたZEPHYR(ゼファー)は、レーサーレプリカ熱に辟易とした空気が漂いはじめたタイミングもあって、瞬く間に400ccクラスで群を抜く存在となり一大ネイキッドブームを巻き起こしたのはご存じのとおり。
それはビッグバイクへも波及し、カワサキはゼファー系で1100と750をリリース。
1999年クラシカルなイメージではない一般的なネイキッドとしてZR-7が登場した。
これはビンテージ・ネイキッドには関心がなかった海外で、ライバルメーカーのネイキッドに対抗するためで、エンジンはゼファー750に搭載されていた、元はZ650系に端を発した738ccで2バルブの空冷。
DOHCのカムカバー形状が異なるデザインだが、同じ66mm×54mmでパワーはゼファーより高い73PS/9,500rpmと若干高回転化されていた。
そもそもZ650系はザッパー(カッ飛びバイクの意味)として、ミドルクラスで確固たる人気を得ていたこともあり、ZR-7は日本国内では圧倒的ゼファー人気の影に隠れ気味だったが、ヨーロッパをメインに海外では需要の多い機種となっていった。
その広告展開も派手なモノではなく、空冷ネイキッドとして堅実なイメージを伝える路線で統一されていた。
ミドルクラスの堅実な空冷2バルブネイキッドとしてポジションを確立
その海外でのニーズの多さに、2001年にはハーフカウルのZR-7Sがバリエーションとして加わった。
高速クルージングの多い環境に合わせて、スクリーンも大きめの風圧プロテクションを意識した仕様で、もとよりビッグバイクの中では軽快なハンドリングと高かった評価と共に堅実なユーザーに支持される存在となっていた。
ただ日本国内ではZR-7に存在感が乏しく、ハーフカウルのZr-7Sもリリースされたものの、ほぼ注目されない地味な存在のままが続いた。
しかしそのハーフカウルの実用的でスタイリッシュなフォルムは、海外で人気だったのを伺わせる大人向けの感性が漂う。
むしろいま新鮮に感じさせるバランスの良さと、空冷DOHC2バルブというココロに訴えるパワーソースと共に再評価される存在に思える。
カワサキのミドルクラスでの強さは、ユーザーの価値観や使い勝手に寄り添うクオリティが評価され、この後も600ccクラスをはじめ揺るぎのないものとなっている。