新水冷エンジン、新DC-ALBOXフレームで激化する400レプリカ戦線に最強仕様で臨む!
スズキが1984年にリリースしたGSX-R。400ccでも車名に排気量を表示しない、レーサーレプリカ気運が高まるなか、一気に本モノ感を漂わせるオールアルミフレームやセパレートハンドルに大柄なカウル……レーシングマシンに憧れる層に突き刺さる仕様で、まさにレプリカ時代のエスカレートへ火をつけたマシンだった。
その後、オリジナリティを求めるあまりエアロフォルムなどレプリカ戦線の真っ向勝負からやや外れ、エンジンもユニークな水油空冷とした世代へと繋がったが、激化するいっぽうの400レプリカ戦線では注目度を下げてしまった。
そこで1988年に完全刷新のNewGSX-R400が投入された。
エンジンは水冷4気筒DOHC16バルブで、ボア×ストロークは56×40,4mmへと全面変更、59ps/12,000rpm(レッドゾーンは15,000rpm~)3.9kgm/10,500rpm。
フレームはツインチューブの部材から変更、DC-ALBOXフレームと呼ぶデュアルセル、それはふたつのセクション断面からなる薄い幅ながら強靭なメインチューブを形成、ダウチューブを廃したエンジンを強度メンバーとするダイアモンド・レイアウトとなり、剛性50%アップで2kgの軽量化を達成している。
このより高回転域での鋭さを与えたエンジンと、ツインチューブながらスリムな外寸としたフォルムは、全日本をはじめ400最強と謳われていたホンダV4に対抗するため、シャープなハンドリングを狙ったもの。
乾燥重量も160kgに収め、レース参戦を前提とした6速をさらにクロスしたレーシングミッション、伸び側10段に圧縮側12段とプリロードを大幅に調整できるインナーロッド式フロントフォーク、リヤサスも伸び4段に圧縮19段をアジャスト可能なリザボア・タンク装備を奢ったSP仕様を同時発売していた。
価格もSP仕様では遂に739,000円と70万円オーバーで、400レプリカ競争は徐々に若者には手の届きにくい存在となりつつあった。
1989モデルで前後17インチ化に補強スイングアームでネーミングもGSX-R400Rに!
続く翌1989年モデルでは、主流となりはじめた後輪の17インチ化へ早々と対応、スイングアームも耐久マシンで実績を得た補強の入ったデザインへと変更になった。
エンジンはポートとカムプロファイルを若干中速寄りへの変更にとどめている。
因みにスイングアームは20%の剛性アップ、ただ重量は3.5kgから4.3kgへと若干増加し、17インチとなったリヤホイールはリム幅が4.0→4.5とワイドになり、タイヤサイズも140/60 R18から150/60 R17へとロープロファイルで幅広仕様となっている。
価格はノーマルでも729,000円と70万円超えで、4inti1マフラーのSP仕様では819,000円まで跳ね上がった。
そこでこのSP仕様のレース用クロスレシオ・ミッションのみ、一般公道仕様に換装したSPIIも699,000円で半年後にブラック・ゴールドのカラーリングを1,000台限定でリリースしている。
この後、1990年にはアルミのダブルクレードル・フレームへと回帰した最終モデルへとバトンタッチ。この目まぐるしい変遷に終わりを告げることとなった。