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このバイクに注目
YAMAHA
XV750 Special
1981~1983model

XV750Specialは空冷トラディショナルVツインを斬新テクノロジーで構築!【このバイクに注目】

ヤマハで初の横置き75°Vツインを最新シャシーテクノロジーで融合!

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1980年秋、ドイツはIFMA(ケルンショー)にヤマハは初めて750ccのVツインをお披露目した。
それまでの10年で、日本メーカーは大型バイクにDOHC4気筒が居並ぶ状況をつくり、既存の英独伊米メーカーが立ち向かう気力を失わせる勢いで邁進し続けた。
とはいえ、高性能化を目指すと画一的になる……そうしたファンの心理と、アメリカのような多様なマーケットでアメリカンスポーツのXS650スペシャルが成功した経験を持つヤマハは、独自の個性を前面に打ち出した新カテゴリーの必要性を痛感していたのだ。
横置き4気筒ではないエンジンといえば、横置きVの2気筒……アメリカで成功したヤマハは迷うことなくこのエンジ形式を選択した。
しかし、それはいうまでもなくハーレーをイメージさせるものではなく、ヤマハのオリジナリティに溢れた新次元のVツインという条件がついた。

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Vツインといえばドゥカティのような90°から、ハーレーの45°までVバンクの鋏み角も様々。
90°では車体へ搭載するとき前後に長くなりやすい、45°ではVバンク間にキャブレターなど吸気系の設計に自由度がない。
というところで、Vバンクは75°に決定、Vツインのスリムさを活かし全体にコンパクト且つ見た目に空冷の冷却フィンが美しく映える車体構成とを結びつけていく段階で、プレス鋼板を使ったモノコック仕様のバックボーンタイプが浮上した。
それは空冷Vツインの課題でもある後ろバンクのシリンダー冷却や、エンジンを車体の強度メンバーとして中心的役割をさせることで、エンジンの前にフレームの取り回しがないレイアウトとする、いくつもの要素を融合させる高度な設計を経て開発が進められたのだ。
とくにエンジンのシリンダーとヘッドの締め付けには、シリンダースリーブの上縁にステンレス製の帯板を6巻きして発熱と応力とで歪みがでないよう工夫するなど、思い切った構想の具現化へ惜しまず尽力していた。

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さらにリヤサスをエア圧を併用したそれまで例のないモノサスで、各種アジャスターをリモートでアジャストできる機構も加えている。
ここまでのコンセプトで、いわゆるアメリカンのクルーザーを狙ったのではないことが明白。
ヨーロッパにはスポーツツーリング仕様を併行して開発、前傾したライポジにシャフト駆動ではなくチェーン駆動、しかもグリースを封入したカバートンネルを上下に加えた耐久性を考慮した装備で進めていた。
これは国内向けXV750Eとなって翌1982年にリリースされたが、1,000cc版のXV1000、TR-1として海外にデリバリーされることとなる。

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こうして83.0mm×69.2mmの748ccは、60ps/7,000rpmと6.4kgm/6,000rpmのパワートルクを発揮、乾燥で212kgのビッグバイクとしては軽量コンパクトな車体を、クルージングからワインディングまで広範囲にライディングを楽しめる新感覚スポーツとして販売がスタートした。
しかし日本では、どう見てもハーレーのようなアメリカンにしかイメージされないなど、楽しめる可能性を感じさせず注目されなかった。
後にリリースされたツーリングスポーツのXV750Eも、DOHC4気筒スポーツをさておいて手に入れるバリューを感じさせず、その存在感を示すことなく過ぎてしまった。
ただアメリカではスペシャルではなく、ビラーゴの車名と共にクルーザーやシティラナバウトとして中型~大型で、狙い通りに独自の個性が認められライバルを突き放すシェアをかなりの期間で獲得していた。