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このバイクに注目
YAMAHA
FZR400R
1989model

FZR400にRを加え僅かにみえても確実なクオリティアップ!【このバイクに注目】

ライバルとの闘いに負けじと細々と戦力アップしたパフォーマンスの向上は著しかった!

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ヤマハはスーパースポーツをレーシーなキャラとする方向には否定的だったが、レプリカブーム到来の気運を4ストロークでもトップエンドで闘うチャンスと睨んでいた。
ただ勝負にでる革新的な切り札はまだ開発中。だからといって、ここで2年も指をくわえていては決定的な後れをとる。
そこで空冷XJ系4気筒を水冷化したXJ400Zをベースに、フレームはスチールの角断面パイプ、そしてロングタンクにシートカウル、さらにデザインを決定づけた2灯ヘッドライトの大柄なハーフカウルのフォルムを1984年に発表、FZ400Rは大成功を収めた。

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その2年後、水面下だった革新的な切り札が遂に姿をみせた。
「ワークスクオリティ」と銘打ったNewマシンは、FZ750でジェネシスと次世代宣言をしたシリンダー角が前傾45°で、ダウンドラフトキャブレターでストレート吸気するそのままを400ccで踏襲した完全刷新のNewパワーソース。
そして世界GPのYZR500で開発されたアルミのデルタBOXフレームだった。
それから3年、ライバルとの熾烈な闘いに改善を加えていたが、車名の末尾にRを加えるマイナーチェンジが施された。

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399ccは56mm×40.5mmのボア×ストロークも変わらず、自主規制上限の59PS/12,000rpmと3.9kgm/9,500rpmのスペック表記も同一だが、いわゆるオーバーラン特性というレースだとココ一発のムリが効く、ピーク域を過ぎてもレブリミットが働く15,000rpmまで伸びるポテンシャルが与えられていた。
またエンジン下のエキゾースト集合部分で機能する排気デバイスEXUPも、中速で切り替わる箇所を感じさせず全域でトルキーでリニアな特性へと熟成がはかられた。
アルミデルタBOXフレームも、スイングアームをワークスマシンと同様のデルタBOX断面に変更、剛性で8%アップして1kgの軽量化を果たしている。
またアルミ表面の鏡面仕上げによる硬度アップなど、クオリティへの配慮が随所に見られた。

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そして実は大変な時間をかけたのが、リヤタイヤの60扁平率のワイド・ラジアルタイヤの装着だ。実は偏平率をココまでロープロファイル化しないと、ラジアル化のメリットが充分に活きてこないからで、徐々にワイドに進化するというのではなく一気に勇断したヤマハの貢献度は大きかったのだ。

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益々激化する400レプリカ戦線は、ワークスマシンでの進化を反映して最新である状態をキープする必要がある。
そのひとつが、前方から走行風をダイレクトに導くカウル両側のインテークからダクトで吸気圧を高める手法を採り入れていた。
見た目にも大きく違う斜めのスラントノーズに、ヘッドライトカバーレンズを組み込んだルックスは、同年にFZR250Rと共通のデザイン。
マフラーのサイレンサーも、以前の長円から丸く太い容量がいかにも大きなプロファイルとなっている。

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ただこうなればなるほど、過剰な競争の激化にユーザーのほうがついてゆけなくなり、徐々に嫌気がさしていく流れに変わりはじめていた。
こうして10年ともたなかったレプリカ全盛期だが、各メーカーとも濃密な開発競争に明け暮れ必要ならコスト無視も許される、エンジニアにとって黄金時代であったのは間違いない。
FZR400Rも翌1990年にはエンジンの前傾角からデルタBOXフレームまで完全刷新したFZR400RRへ、たった1年でバトンタッチとなるのだった。

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