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電子制御化が進みすぎると楽しさが減るのでは?【教えてネモケン042】

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A.操る楽しさはむしろ上がっています!

国内外を含め、電子制御が満載されたバイクが増えています。
しかし、ここまで電子制御で管理されると、
バイクを操る楽しみが失われていないですか?

ライダーに自信と醍醐味を感じさせる走りをもたらす!

昔からバイクにお乗りになられている方なら、何から何までコンピューターで管理されるイメージは、ライダーが操る範囲が狭くなる印象になりがちですよね。その気持ちはよくわかります!

そもそもバイクは、エンジンと車体とタイヤというシンプルな構成で、それを人間の五感で操るから楽しい……確かに原点はそこにあると思います。

バイクには様々な楽しみ方があります。エンジンの鼓動に揺られながら、時速60km/hで充分に楽しいという方は、コンピューターなどに依存しない、ローテクのままが良いという意見でしょうし、そこに異論はありません。

ただ、デバイスの意味には多種多様な面があります。

たとえば’80年代から始まった、エンジンのキャブレターフューエルインジェクション化(以下FIとします)してきた経緯を考えてみましょう。FIの場合には、エンジンの低回転域でいきなりスロットルを大きく捻っても、燃料の噴霧化と空気の吸入量に応じて、そのときに適正な混合気を供給します。

昔のキャブレター時代のバイクだったら、そんなラフな操作をすればエンジンが息つきと呼ばれる一瞬加速しない状態に陥ってしまいました。それをFIはリカバーしてくれるのです。そこには混合気のバランスだけでなく、点火時期も適正なタイミングに調整されるという、コンピューターならではの総合力が功を奏しています。

これも導入当時は、面白みがない……うまく操作すれば低回転域の力強さを引き出せたのに、その醍醐味を失った等々、ネガティブな意見が数多くありました。

しかし、排気ガス規制がどんどん強化されていく時代であり、FI化は避けられない状況のなか進化を続けてきました。そして現在はどうでしょう。

むしろ低回転域で大きくスロットルを開けることで、コーナリングスピードによっては爆発回数が刻まれるような駆動力の特性が得られ、しっかりと後輪をグリップさせ、旋回が安定してライダーに自信と醍醐味を感じさせる走りが可能になっています。それはMotoGPのような極限の世界でも、最先端技術が目指す大事な方向性のひとつにもなっているのです。

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電子制御化はフューエルインジェクションから

電子制御化は、フューエルインジェクション(FI)から始まった。すでに四輪では採用されていたFIを、’80年代に入ってバイクに合わせて小型化し搭載、FIバイクが登場し始めた。量産車初のバイクはホンダCX500 TURBO(1981)で、その後に国産メーカーから続々登場した。しかし、当時はまだ一般化するには至らなかった。外車では、BMW K100RSやドゥカティ851などがFIをいち早く搭載した

楽しいと思える時間が途切れない!

話を最新電子デバイスに戻しましょう。確かにバンクした状態で後輪がスリップしそうになったら、エンジンの出力を調整してリスクを回避するなど、それはライダーのミスをリカバーする側のイメージが先行してきました。

そのため、そもそも一般公道でそこまでパワーが必要なのかという、技術の進歩に疑問を抱かせる意見も出ていましたね。そこまでの議論になると、スポーツバイクの存在そのものを否定か肯定かの領域なのでここでは触れません。

しかし、リスク回避だけではなく、ハイパワーなバイクを楽しめる可能性を追求するというチャレンジを、電子デバイスをエンジンからサスに至るまでトータルパッケージ化することで新たな一歩を感じさせています。

                                                                                                       

乗ってみなきゃわからない……当時の最新型を試乗して、正直そう思いました。管理されているなどと感じる部分は微塵もなく、ひたすらスポーツライディングの没頭できたのです。様々な場面で、ある意味ストレスにもなっていた、特性が急変する部分に身構える必要性も激減しています。

一瞬のエンジンレスポンスに直結している後輪のトラクションや、ブレーキングの入力とリリースでサスが路面を捉えにくくなりがちな空白も、電子デバイスは実に上手に安心できる状況を提供してくれるのです。

それではつまらない、実際に乗ったらそんな風に思うライダーはいないでしょう。楽しいと思える時間が途切れない、これは理屈抜きに素晴らしいからです。

もちろん各自のキャリアや走るシチュエーションに応じて、設定を決める責任はライダーにあります。それにオーバースピードでコーナーへ進入するなど、無謀な行動をリカバーはしてくれません。

どんなに電子デバイスが進化しても、バイクに乗るというリスクと背中合わせの部分に個人の責任がある基本は変わりません。そこをお忘れなく。

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違和感を感じさせず、より積極的に楽しめる制御に

排気ガス規制など、環境対策として登場した電子制御技術は、やがてライダーのミスをリカバリーするデバイスとして進化。トラクションコントロールABSなど、部分的に機能するものだったが、現在では多くの機能が統合されより緻密な制御が行われた結果、ライダーに違和感を感じさせず、乗りやすく走ることに集中できる機能となった。そのすべては人間の感性に馴染ませる技術として進化しているのだ

Words:根本 健 Photos:長谷川 徹,柴田直行,本田技研工業