Z1レーサーがZ900RSで蘇る!
古くからのバイク好き、そしてレースファンには説明の必要もないほど有名なヨシムラ。
現在ではノーマル/リプレイス問わず装備される集合マフラーを、世界で初めてバイクのレースで使用したのがヨシムラだった。そんなヨシムラのサイクロンマフラーは高い人気を誇る。
Z900RSの発売から間もない2018年の東京モーターサイクルショーでは、かつてのZ1用に開発した集合マフラーを彷彿させる「ストレートサイクロン(プロトタイプ)」を発表した。
そして2019年の東京モーターサイクルショーでは、ヨシムラが1976年に米国で開催されたAMAスーパーバイク選手権に参戦したZ1をオマージュしたカラーのZ900RSを展示して大人気を博した。
そこで外装キットの企画が立ち上がり、2021年7月から販売予約を開始したのが、この「ヘリテイジKIT」だ。撮影車はZ900RS CAFEにSPEC2を装備。さらにオプションで、ドイツのThyssenKrupp(ティッセンクルップ)社が開発し販売を始めたカーボン製ホイールもセットしている。
それではヘリテイジKITを詳しく見てみよう!
※プライス表記はすべて税込み価格(2021年11月現在)
70年代スーパーバイクの香りが漂う
Yoshimura Heritage KIT SPEC1
40万1,500円(Z900RS)、53万3,500円(Z900RS CAFE)
燃料タンク、シートカウルに1976年に参戦したAMAスーパーバイクのヨシムラZ1のカラーを再現するペイントを施す。ビキニカウル(CAFEのみ)はヘリテイジKIT用に新たにデザインしたカラー。サイドカバーとフロントフェンダーは綾織りのドライカーボン製で、深い光沢をもつクリア塗装仕上げ。そしてヨシムラとZの融合を象徴する、左右エンジンカバーに貼るエンブレムをセットする
専用マフラーなども加わった、限定50セット!
Yoshimura Heritage KIT SPEC2
91万3,000円(Z900RS)、104万5,000円(Z900RS CAFE)
外装キットSPEC1に加えマフラー、ステップ、リアフェンダー、コアプロテクター、フレームプラグ、パルサー/ジェネレーターのカバーガードがセットされるSPEC2。これらはすべてSPEC2の専用品となっている。
機械曲チタンストレートサイクロン Duplex Shooter 政府認証
世界で初めて集合マフラーを世に出したヨシムラを体現するストレートサイクロン。エンジン下のデュプレックスシューターは、一般的な膨張室とは異なり、消音と最適な排気効率を実現するための装備で、ここからも排気が行われる。一見すると4-1集合だが内部は4-2-1構造で中速域の扱いやすさとトルクを確保。同形状の通常製品のストレートサイクロンの素材は、手曲がエキパイがスチール製でテールパイプとサイレンサーはステンレス製・機械曲がステンレス製となっているが、このSPEC2専用品はチタン製で、それを塗装して仕上げた贅沢な仕様。エンブレムは、グラデーション加工されたチタン製。ノーマルマフラーより6.4kgも軽量だ
ステップKIT X-TREAD
ネオレトロにフィットする細部まで作り込まれたデザイン。4ポジション仕様で、固定式のバーはステップワークにとグリップに適した切削加工を施す。シフト/ブレーキペダルはダブルベアリング仕様で、先端はシフト側3ポジション、ブレーキ側2ポジションの位置調整が可能。通常製品と異なり、ヘリテイジKIT専用のブラックアルマイト、およびドライカーボン製のヒールプレートを装備する
カーボン製リアフェンダー
SPEC1のフロントフェンダーとマッチングする、シャープなデザインの綾織りドライカーボン製のリアフェンダー
ラジエターコアプロテクター
ラジエターのコアを飛び石などから守るプロテクター。ヨシムラ独自のヘキサゴナル(亀甲)パターンで、前輪の巻き上げが多い中央部は目が細かく、両サイドは冷却性を高める粗目で構成。通常製品に対し、中央にZの文字を配した特別仕様
フレームキャップセット
フレームの穴を塞いで水やホコリの進入を防ぎ、ドレスアップ効果のあるフレームキャップはSMLの3サイズで、左右の計6個をセット。通常製品はスレートグレー単色だが、SPEC2ではレッド×ブラックのダブルアルマイト仕様だ
エンジンケースガード パルサーカバー/ジェネレーターカバー
万一の転倒時にエンジンの損傷やオイル漏れを軽減するヨシムラのエンジンケースガードシリーズ「PRO SHIELD」。アルミのベースに高強度で軽量なエンジニアリングプラスチック製のガードをセット。通常製品はアルミのベース部がスレートグレーだが、SPEC2はレッドマイト仕様
ピットをイメージさせるレーシングマットが付属!
ヘリテイジKITにはSPEC1/SPEC2共に、レース時のピットやショーでの展示でも使われるレーシングマット(専用デザイン)が付属。他にもブレーキのリザーバータンクバンドも同梱される
ヨシムラといえばエンジンチューニング!
近年はエンジンまで手を入れてカスタムするユーザーは減っているが、古くからのファンがヨシムラと聞けば、やはりエンジンチューニング。そんなファンの期待に応え、主力とするサイクロンマフラーの性能を引き出すべく専用カムシャフトを開発。さらに扱いやすいトルク特性を生み出す吸気系セッティングパーツのTMSファンネルも開発した。
Z900RS ST-1Mカムシャフト
14万7,400円
「スタンダードエンジン&ヨシムラサイクロン」の性能を引き出すべく、マフラーのデュプレックスシューターと同時の2019年に発表し、販売を開始したボルトオンのカムシャフト(燃料調整、タペットクリアランス&バルブタイミングの調整が必要)。末尾のMは削り出し加工(Machining)を意味し、カム素材を削り出して製作。高精度な上に大口径の中空加工によって軽量化を図り、いっそうのレスポンス向上に寄与する
TMSファンネルKIT
5万3,900円
トルクの急激な変化を抑えて滑らかに上昇させることで、スムーズでコントロールしやすいエンジンセッティングを実現するTMS(トルクマネージメントシステム)。吸気ファンネルの長さを変更することで、好みのフィーリングや走りに合わせたセッティングが可能。初期セットは同社のサイクロンマフラーと組み合褪せて使用する場合、燃料調整を行わなくても使用可能
雑誌RIDE HI NO.8
RIDE HI NO.8では、2022年に50周年を迎える『KAWASAKI Z1』に試乗!
ヨシムラジャパン
伝説的チューナー“ポップ吉村”こと吉村秀雄氏が1954年に創業し、様々なレース用車両を手がけたのが始まり。1971年に世界初の集合マフラーを開発し、翌年に市販開始。アメリカに進出しAMAレースなどで活躍し、1978年には第1回鈴鹿8時間耐久レースでワークス勢を抑えて優勝するなど、国内屈指のレーシングコンストラクター。リプレイスマフラーやエンジンチューニングパーツ等の開発・販売にも力を入れ、現在も国内外のレースの第一線で活躍する