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なぜブレーキのフルードカップにリストバンドを装着するの?【ライドナレッジ018】

ブレーキ液の飛散を防ぐ

フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシリンダーが装備され始めたころは、皆がこぞって装着していた。

最近は一般車では人気が下火な感じもするが、現在も多くのMotoGPマシンが装着しているところを見ると、どうやら単なる“お洒落アイテム”ではなさそうだ……。
このリストバンド、正しくはマスターシリンダーカップバンド、またはリザーバータンクカバーと呼ばれるれっきとしたレース用アイテム……だが、昔は本当にテニスなどのスポーツで使う汗止めのリストバンドを流用していた。それはさておき、装着する理由は「ブレーキフルードの飛散防止」だ。

ブレーキフルードは滲みやすく、プラスチックを傷める

ブレーキフルードは非常に浸透性が高い。そのためフルードカップのキャップがキチンと閉まっていても、わずかに滲み出ることがある(ただし、よほどのトラブルでない限りボタボタ垂れるほど漏れたりはしない)。

とはいえブレーキフルードは素材の性質上プラスチックを傷めるので、たとえわずかでもカウルのスクリーンやヘルメットのシールドに付着すると、著しく視界を損ねる危険性がある。
レース中のライダーのフォームを思い出してみよう。直線ではヘルメットのアゴがタンクに当たるくらいピッタリと前傾し、シールドはフルードカップのすぐ後ろだ。泡粒のようなわずかな付着でも、300km/hを超える風圧でヌラヌラと広がっていけば大変なコトになる。だから万全を期して、滲み出たブレーキフルードを吸着するカバーを巻いているワケだ。

ブレーキフルードの性質については、こちらをチェック!
ブレーキフルードってオイルじゃないの?【ライドナレッジ015】

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フルードカップの中には、フルードと空気を仕切るゴム製のダイヤフラムが入っており、キャップには空気側の通路が設けられている場合もあり、きちんとキャップが閉まっていても構造的にフルードが滲みやすいともいえる

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ホンダのMotoGPマシンRC213V。フルードのカップにはしっかりとバンドが巻かれている。写真のRC213V(2021年型)はワイヤー式クラッチだが、油圧式クラッチのマシンは、クラッチマスターのカップにもバンドを巻くのが一般的だ

市販バイクにも効果的!

とはいえ一般ライダーはフルードカップにシールドが触れるほど前傾姿勢を取らないだろうし、300km/h出す機会も少ないだろうから必要ない……と思いきや、じつはシッカリ効果がある。

なぜならブレーキフルードは塗装を傷めるからだ。滲んだフルードが飛散してガソリンタンクなどに付着すると、すぐに水洗いして拭き取れば問題ないが、気づかずに放置すると付着した部分の塗装が溶けてしまうことがある。だから飛散防止のリストバンドは市販バイクでも意味があるワケだ。とはいえ、ずっと付けっぱなしはNGで、たまには外して洗濯した方が良いのは言うまでもない。

というワケでインターネットで検索すると、かなりの種類が販売されている。ちなみにブレーキシステムで有名なブレンボは、以前はレースチームのみに供給する非売品だったが、現在は販売品にラインナップ。
他にもヨシムラやモリワキも販売しているし、なんとHRCではRC213Vと同一品を“ワークスパーツ”として販売。機能はもちろんだが、やはりドレスアップパーツとしても気になるかも……である。

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HRCのホームページではCBR1000RR-Rのレースベース車やキットパーツ等と一緒に「マスターシリンダーカップバンド」も販売。“RC213Vで使用しているマスターシリンダーカップバンドをそのまま商品化~”や、“HRCワークス活動で培ったノウハウを採用、レースシーンにおけるオイル漏れ及び飛散防止に貢献、高いフィット性によりレーススピード等での外れ防止にも配慮”と魅惑的な文言が並び、ホンダファンならずとも欲しくなるはず!
https://www.honda.co.jp/HRC/products/worksparts/cylindercupboard/