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輸入車で誤解されやすいハイオク指定【ライドナレッジ168】

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iStock(Laser1987,krblokhin,Emirhan Karamuk)

日本のハイオクは海外ではレギュラー!?

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オートバイに限らずクルマでも輸入車はほぼすべてハイオク指定。
世界に誇る高性能な日本車は、基本的にレギュラーガソリンの給油で事足りる。
そういうところが日本の技術に追いついてない証拠……と思いがちだが、それは大きな誤解だ。

実は日本のレギュラーガソリンは、先進国にはないオクタン価の低さ。
それぞれの国ではレギュラーもしくは中間のPLUSなど、標準的に給油されているオクタン価が、日本ではハイオクに相当するという違いがある。

オクタン価とはわかりやすくいうと着火しにくさを表した数値。
高圧縮で高温となる高性能エンジン向けに、燃焼の点火タイミングだけで燃えるよう設定したあるため、低回転域でノッキング現象を誘発する異常着火しない特性が与えられている。

日本ではレギュラーが89.0以上のオクタン価、ハイオクだと96.0以上と定められているのに対し、たとえばヨーロッパでは3種類の規格があって、オクタン価91、次いで95、そしてハイオクタン価が98となっている。
アメリカはヨーロッパのRON規格と異なるAKIという指標なので87~93オクタン価となるが、RONに計算すると91~98とほぼヨーロッパと変わらない。

つまり海外ではレギュラー指定のバイクでも、日本のオクタン価だとハイオクを給油しないと異常着火するリスクがあるわけだ。
事実ボアの大きな高性能エンジンに日本のレギュラーを給油すると、低回転域でスロットルを開けたとき、チリチリやカリカリとピストンの縁で自然発火して、ピストンの頭部が小刻みに首を振るノッキングと呼ばれる状態を生じ、傷がついて摩耗を早めたりする可能性のある現象が起きやすい。

E10やE5のラベルは何の意味?

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ということで、スーパーバイクのような頂点マシンでなくても、それこそベスパのようなスクーターからロイヤルエンフィールドのように空冷でトラディショナルなバイクでも、日本ではハイオクを給油する必要がある。

また燃料タンクのラベルにE-10などの表記がある。
これはオクタン価ではなく、環境負荷を抑えるためエタノールなどの再生可能な成分を混ぜることが決まっていて、これまでE-5(5パーセント)だったのが最近はE-10対応が可能なエンジン仕様が義務づけられているため、そういったステッカーが貼られているというわけだ。

こうした対応で油種を3種類から2種類へと減らす傾向もあるが、発展途上国を含め日本のレギュラーガソリンに相当するオクタン価はほぼ見つからないというギャップには首をかしげてしまう。

ハイオク指定には必ずハイオクを!

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つまり、日本のガソリンも欧米などと同じオクタン価で用意されれば、ベスパもロイヤルエンフィールドもレギュラーガソリンを給油できることになるのだ。

なぜ日本がこのようなギャップがある状況に置かれているのかは、世界の石油バランスで日本が築いてきた道程があってのことなので、何とも言いようがないが、発展途上国などの状況を踏まえるとクルマやバイクの輸出国として技術的なメリットもないとなると再考せざるを得ない気もする。

ところで趣味のバイクの世界だけに、ハイオク指定の機種にレギュラーはご法度だが、その逆のレギュラー指定にハイオクを給油するのはどうなのか?
愛車がツーリングで頑張ってくれたお祝いに、ハイオクを奢るというライダーもいて、それはそれで気持ちはわかるものの、ハイオクを入れたらバイクに良いかというとそれは全くない。

ガソリンくらいケチりたくないので、愛車がレギュラー指定でもハイオクしか入れないというのはお奨めできない。
冒頭に説明したように、圧縮や熱などの燃焼時の条件対応がレギュラー指定のエンジンでは、むしろレスポンスが鈍化したりする可能性もある。
設計時に狙った条件下で運転されるのが、エンジンにとっては最も良いはず。レギュラー指定にはレギュラーガソリンが相応しいということもお忘れなく。

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