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ハンドルを押えるとNGの理由と、前輪を妨げない掴み方って?【ライドナレッジ181】

Photos:
藤原 らんか,shutterstock(David San Segundo/Jag_cz)

親指のつけ根が痛くなる握り方はNGな操作になっている証拠!

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ツーリング中に長時間のライディングで、左手の親指のつけ根が痛くなったりしがち。でもそれは慣れないからだけではなく、愛車の曲がれるハンドリングを妨げている証拠。ハンドルを押えたり、チカラを入れるのは良くない……。そう言われることが多いのはご存じのはず。でもそれを、そうしたほうがイイ程度に認識されているとしたら、バイクに乗る面白さの半分くらいご自分で放棄なさってるも同然。
ではハンドルを押えたりチカラを入れると何がNGなのか、わかりやすく言うと曲がり方に大きな違いが生じるということ。押えたりチカラを入れると前輪がセルフステアという、まがりやすく舵角をつけたり追従する機能を妨げてしまうからだ。

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オートバイはご覧のイラストのように、ハンドルを持つ左手で押したり引いたりのチカラを加えると、前輪が自然に追従するセルフステア機能を妨げられ、旋回が膨らんで大回りに。
これは交差点の左折など小さなターンから、60km/hあたりで曲がるカーブまで、旋回の大小にかかわらず驚くほど曲がりやすさに差が出てしまう。

オートバイの前輪は、装着されているフロント・フォークが斜めに角度をつけることで、直進では手を放しても真っ直ぐ自立して走る直進の復元力で安定して走れている。車体の重量がフロント・フォークに載ると、直進では前輪が車体からいちばん遠くを向く原理だ。
同時に車体が少しでも傾くと前輪に僅か舵角がついて、車体(後輪)が旋回する(曲がる)軌跡に沿って追従するセルフステアという機能も併せ持っている。

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この前輪の大事な機能は、後で説明する体験チェックでわかるように、指いっぽんの僅かな入力でも大きな影響を与えてしまうことになる。
とはいえ、ハンドルにチカラを入れずに運転するのは、ベテランでも至難のワザ。
そこで以下に説明するハンドルをホールドする手の平と、左手首の角度に留意さえすれば、ほぼ機能を妨げなくなるというスーパーテクニックがあるのだ。

両手の外側でホールド、左手首を真っ直ぐにするだけで楽々曲がりはじめる違いが!!

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まずハンドルを持つ両手の親指や人差し指に中指などグリップの内側で握るのやめ、薬指と小指の外側の手の平でグリップをホールドすると、どんなときにもハンドルを押える前輪のセルフステアを妨げなくなる。
加えてハンドルを持つ左手の、手首の角度も前輪を妨げる大きな要因が潜んでいる。長時間で疲れると、つい上半身の体重をハンドルを持つ手に載せてしまい、意識せずともハンドルの動きを妨げしまうからだ。
これは手首に角度のつかない、真っ直ぐな状態にすることで、前輪のセルフステアを妨げない解放状態がキープできる。

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このふたつのハンドルの持ち方をすると、どれほど違ってくるのか、以下のイラストにあるようにお仲間とふたりでいっぽうが前輪を数センチほど小さくゆっくり左右へ舵角をつけてみると、どれだけ前輪の動きが重くなったり軽々と解放されるかの違いが明確にわかるはず。
違いはバイクに跨がっていない、前輪をゆっくり小さく左右へ動かしている側がわかりやすいので、ぜひお互いに交替して体験チェックされること。こんなに違う!とわかれば、そうしたほうがイイどころの差ではないのを痛感するはず。
試しにライダー側がハンドルを思いきり押えるトライを試みると、どんなに押さえ込んでも前輪が影響を受けにくいのに驚くに違いない!

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そうとわかれば、ツーリング中にそれこそ数分おきに左手首の角度をチェックしながら確認を怠らないようにすれば、自然と真っ直ぐハンドルをホールドするようになる。
また手の平の外側でグリップをホールドするのも、レバー操作で支点をデリケートな違いを感じられるテクニックにも繋がるので、常に意識しておくように。
このふたつを励行していると、曲がり角からカーブまで、愛車が思ったより内側へあまりバンクしなくても曲がりやすくなっているのを実感できる。ぜひ体験チェックで、その違いを感じておくことだ。