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このバイクに注目
KAWASAKI
Z750FX
1979~1981model

Z750FXはZ2の次世代として硬派なデザインと熟成の総合性能を誇った!【このバイクに注目】

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KAWASAKI

Z1-Rの直線基調デザインがカワサキZの新しいトレンドに!

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1972年に世界で量産されていなかった900ccのDOHC4気筒の「Z1」で大成功を収めたカワサキ。
しかし当時は750ccを超えるバイクが国内向けに販売を許可されていなかったので、カワサキは国内向けに「Z2」(750RS)を製品化した。
これは903ccだったZ1が66mm×66mmだったのを、バルブ径の確保などでボア64mm×58mmと単にボア径のサイズダウンではなく、クランクシャフトまで再設計する746ccの意欲作だった。

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大ヒットしたZ1は、王座に君臨した時期が長く続いたわけではなく、スズキのGS750/1000などスポーツ性を強調するライバルの猛追がはじまり、1976年には対抗手段で排気量も1,000ccまで拡大したZ1000をリリース。
ただ性能的に目覚ましく差があるまでになっていなかったこともあり、よりパフォーマンス・イメージを掲げることが急務となった。
そして1978年に登場したのがZ1-R、ビキニカウルから燃料タンクにサイドカバーやテールカウルまで、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したDMCデロリアン(ジウジアーロのデザイン)に感化された直線基調で、尖った印象を与える直線基調へイメージを大きく変えてデビューしたのだ。

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このデザイン、全世界で絶賛されたのを機に1978年のZ1000Mkiiでも直線基調が採り入れられ、国内向けのほうはMKIIが商標として使えなかったので、Z750FXの車名となった。
これは同時期のベストセラーZ400FXと同しく、4気筒を意味するFと航空自衛隊の次期戦闘機の呼称に使ったFXとをかけた日本国内専用ネーミング。 果たしてこの角張ったデザインが硬派なイメージで、角ゼットと呼ぶまでになる大人気となったのだった。
そしてFXで排気系が4into2マフラー(テール部分はZ1000 Mkllと違い絞ったコーン形状)は、DOHC駆動のチェーン自動調整によるメカニカルノイズ低減と共に、格段に静粛性を増して洗練された印象を与えていた。
またサスペンションも、安定性を優先したリバウンド・ストロークを長めに設定しているのを忘れさせる軽快なハンドリングとを両立、強力かつコントローラブルなブレーキと相まって、キャリアを積んだ腕に覚えのあるライダーから高評価を得る優等生ぶりを発揮。
Z1000MKIIと同じダウンチューブを二重鋼管としたフレームの安定性は抜群で、大型バイクのハンドリングのリファレンス・モデルと言われるまで信頼性が高かった。

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このZ750FX初代が、Z1・Z2をルーツとする世代の最終モデルとなり、1980年からのZ750FX-IIは650ccザッパーの排気量をアップしたモデルとなり、エンジンもシャシーも全く異なるシリーズ。
Z1回顧も込めた丸みを帯びたデザインだったが、1981年にFXIIIとなったバージョンからは燃料タンクが角Z風に直線基調へ戻された。

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その後もフューエルインジェクション化された1980年のKZ1000や、ベーシックなキャブレター仕様でパフォーマンスを高めたZ1000Jが、その後にローソンレプリカのベースモデルとなるなど、角Zは走り屋ライダーに好まれるバイクというイメージが定着。
この空冷4気筒と角Zデザインは、多くのファンを育むヒット作が連なり、GPzシリーズの時代までカワサキの中核をなす存在であり続けたが、このあまりに親しまれた路線との訣別が遅れ、Ninja900の水冷化までパフォーマンスで徐々にも後塵を拝する立場へと追い込まれてしまうほど角Zは偉大だったのだ。