「宮城 光の絶版車RIDE」第2回は、カワサキ“角Z”の代表格であるZ750FX!バイク王 つくば絶版車館が仕上げたコンディションに注目したい。動画連動のため、ナナハンならではの軽い吹け上がりもチェック!
【宮城光の絶版車RIDE】絶版車リビルドはこうして行われる!往年の名車たち~Z750FX編~
今回は「カワサキZ750FX D2」に試乗。そう、問答無用で皆大好きな1台だろう。「男カワサキ!」なんてワードはこのマシンにこそピッタリとくる。なんといってもこのエッジの効いたスタイル! カワサキファンの方であれば1度は、いや何度も「欲しいなぁ」と思ったことがある“角Z”ならではの意匠だ。
目の前に佇む個体は、当時にタイムスリップした様な美しい仕上がり。それもそのはずでエンジンは車体から降ろし腰下までオーバーホールを実施。中身だけでなくエンジン外観も再ペイントされている。もちろんフレームも再塗装。ネジ1本までバラして組み上げられた、バイク王 つくば絶版車館、渾身の1台なのだ。
それだけに試乗前から興奮!φ36mmのケーヒン製4連CRキャブに手曲げのスチールストレート管、純正ステップ流用のバックステップが、絶版車館スタッフのセンスの良さをうかがわせる。
エンジンを始動した瞬間に驚かされたのがアイドリングの安定感! 冷間状態にも関わらずピタっと決まる。この年代のバイクと付き合っていく上で、こういった細部の調整はとても大切。そして走り出せば750ccとは思えない太いトルクで、エンジン内部の仕上がりの良さを体感できる。
走り出すと空冷Zならではの「鳴き」の回転に痺れるばかり。久しぶりに乗る空冷750ccは、カワサキらしいざらついたフィーリングを持ちつつキレイに上まで回っていき本当に気持ちが良い。空冷ならではのシリンダーが共振する音、2バルブ独特の吸排気音も気分を盛り上げてくれる。
前後サスと車体のバランスも良く、タイトなコーナーでも軽々かつ安定感があり、260kgという決して軽くない車体だが、軽やかな切り返しを可能にしてくれている。
数あるZ750の中でも、仕上がりの良さは特筆物。トータルで100年走ることを念頭に整備が施された個体は、絶版車館スタッフの愛情に溢れていた。
1973年に登場したZ750RS=Z2の流れを汲むカワサキの国内向けナナハンモデルとして、Z750FXは1979年からラインナップされた。前モデルとなるをZ750FOUR(D1)の丸みを帯びた形状から、海外向けに生産されたZ1000Mk.2同様の角張ったボディデザインとされているのが特徴。Z750FXの形式はD2から始まり、登場同年の10月にはD3へとマイナーチェンジ。その後、エンジンベースの異なるZ750FX-2へと進化していく。このZ750FXは、エンジンや車体などすべてをバラし、この先100年乗れるZとしてオーナーのために組み上げられた。販売はもちろん、整備やリビルドにも力を入れるバイク王 つくば絶版車館渾身の1台に仕上がる
エンジンは、腰下まで全バラされオーバーホール。完調のコンディションを保つ。Z750FXのエンジンはD2までがZ750RS(Z2)の流れを汲み、D3からはZ1000のクランクケースを採用するなど変更を受けている。その後のFX-2では、Z650エンジンがベースとなる。キャブレターは強制開閉式のミクニVM26SSが標準装着だが、この車両はΦ36mmケイヒンCRキャブレターに換装されている。手曲げのショートタイプマフラーと合わせ、最適のセッティングが施されている