A.完全密閉されてないので減り続けるからです
タイヤのエアは抜け続けている!
ツーリングに出かける前日、一緒に行く先輩から「タイヤの空気圧チェックも忘れずにネ」とか言われたことありませんか?
確かにこのところ忙しくて1カ月ちょっと乗ってなかったけど、パンクでもしてないかぎり1カ月くらいでエアチェック必要ないでしょ、そう思いがちですよネ。
しかし乗らずに停めてあっても、タイヤから空気はわずかずつ抜けています。
エッ、密閉されてないの?と驚かれたかも知れません。実は最も多いチューブレス仕様はもちろん、スポークホイールでチューブが入っているタイプでも、完全にシールはできないため、空気圧は少しずつ下がり続けているのです。
タイヤのゴムは空気が通る。
たとえばチューブレスタイヤ。内側にインナーライナーという、空気漏れを防ぐフィルムのような薄い膜が貼ってあります。
タイヤのゴムだけだと、わかりやすくいえばスポンジのように隙間だらけで空気を通してしまうからです。
そのためチューブレスタイヤには、内側にインナーライナーが貼ってあるのですが、金属やガラスのように遮断するまでの密閉性はないため、わずかずつですが空気はインナーライナーから漏れています。
チューブも簡単には空気が抜けませんが、やはり徐々に漏れていきます。
というワケで、タイヤの空気圧は自然に減っていくもの。先月チェックしたばかりだから、当然変わっちゃいないはずと過信せず、走る前に必ずチェックしておきましょう。
タイヤの内側にはインナーライナーという薄い膜が貼られ、空気が漏れるのを防いでいる。ただ密閉はできないので1カ月10%ほど抜ける
エア抜けしそうな箇所が、結構あります。
それとこの自然に減っていくだけでなく、他にも空気が抜ける可能性のある箇所があります。
まず考えられるのがエアバルブ。ムシとも呼ばれる空気を入れる口金の中にある小さなパーツで、中央の虫ピンを指で押すとプシューッと空気が抜ける、アレです。
このパーツにはシールラバーの箇所があって、空気を入れるとき、ポンプからの圧縮空気にゴミが混ざっていたりすると、このシールラバーに挟まるカタチで隙間ができてしまい、わずかずつ抜けていく原因になります。
空気を充填してエアゲージではかった後、口金にツバなどつけて風船ができなければ漏れていない確認ができます。漏れていたら、ムシを締める小さな特殊工具で虫ピンを引っぱり上げ、空気漏れを止めます。
また口金のキャップも、裏側にゴムのシール用Oリングが入っていて、これもバルブに支障が起きたときエアが急に抜けるのを防いでくれるので、解放せずに必ずキャップをつけて締めておくのをお忘れなく。
空気を入れる口金には、一般的にキャップがある。プラスチック製の簡素な場合でも、キャップの内側にエア漏れを防ぐラバー製Oリングが嵌め込んであり、バルブからのエア漏れを最小限に食い止めようとしている。
小さな小さなパーツだが、エアの充填から調整まで重要な役割を担う。エアのポンプやタンクにあるゴミが混入すると、このムシと呼ばれるエアバルブに挟まってエアリークの原因にもなる。
エアゲージを常備しておこう。
そうなると、走り出す前のその都度、タイヤのエア圧は測れたほうがイイに決まってます。
10cmにも満たないペンシル型のミニエアゲージでも、構造がシンプルでそこそこ正確にエア圧が測れるので、用品店でひとつ購入しておきましょう。
ただ口金との角度によっては、プシューッと盛大なエア漏れを誘発するかもなので、プシュッと瞬間で音盛れが聞こえない口金との角度に慣れておくようお薦めします。
また足らなかった場合のため、ガレージか愛車を止めておく場所にエアポンプ(空気入れ)もあると便利。
因みに指定してある空気圧から、どのくらい減っていたらNGなのかというと、10パーセントくらいであれば何の問題もありません。
2kgf/㎠が指定空気圧で、測ってみたら1.8kgf/㎠だったら、そのまま走り出しても大丈夫ということです。
もちろん0.2kgf/㎠でも特性は変わるので、燃料補給で立ち寄ったGSなどで、正規の空気圧にしておくほうが安心して楽しく走れます。
ペンシル型の携帯エアゲージ。安価なタイプでもそこそこ正確に測れる。口金の角度が合う位置関係など、慣れておかないと無駄にエアが抜けてしまうので練習しておくのがお薦め。
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 藤原 らんか