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新品タイヤの慣らしは、どうやればいいですか?【教えてネモケン026】

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A.急激な操作を控え、タイヤを揉むことを意識しましょう

最近タイヤを交換しましたが、家庭の事情でバイクに乗る機会が少なくなかなか皮剥きができません。シティランで慣らしをするときのいい方法を教えて下さい!

そもそもタイヤの皮剥きとは?

タイヤを新品に交換すると「最初は滑りやすいのでしばらくは慣らしをして注意しながら走行してください」といった注意を受けますよネ。
これはタイヤを製造するとき、金型からスムーズに抜くための離型剤がタイヤ表面に残っているからです。もちろん出荷前に拭いてはいますが路面と擦られてなくなるまで油断は禁物という理由がまずあります。
さらに、組んですぐのタイヤは内部のカーカスがまだ荷重を受けてたわんでいないため、トレッドラバーと一体になって衝撃を吸収減衰する性能が充分に発揮されないからです。

一般的にこの慣らし運転は、ひと皮剥くという表現を使いますが、これは表面のゴムが摩耗した跡が見えるまでと勘違いされがちです。実際はそこまで待つ必要はありません。

では具体的に、どうやって慣らしをするのかを説明しておきましょう。

まず離型剤については、急なスロットル操作や強いブレーキは慎んで、数キロ〜数十キロ走れば事足ります。バンクしたときに、トレッドの端まで路面で擦った跡がないと滑りそうと思いがちですが、荷重の中心が路面と接した後ならば、そこより外側はタイヤが凹んで接地する領域なのでまず問題ありません。

それと最近は金型もアルミ系鋳造がほとんどで離型剤も少量で済むのと、トレッドの表面をあえて平滑にしていないため、昔のように手で触るとシリコンでも塗ったかのようにツルツルと滑る状態ではありません。なので、そこまで神経質になる必要がなくなってきています。いきなり加速したり、急ブレーキや急にUターンなどをしなければ大丈夫でしょう。

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実は昔ほど神経質になる必要はなくなっている

ひと昔前の新品タイヤの表面は、見るからにつややかにテカっていた。これは金型からタイヤをスムーズに抜き出すための離型剤によるものだが、これを落とすために慣らしが必要だった。現在は昔ほど神経質にならなくてよい

またカーカスを含めタイヤ全体が揉まれる状態を得るには、一番手っ取り早いのが高速道路などでスピードを出してしまうことです。そうした状況が得られなければ、離型剤が取れた状態から加速でエンジンが低回転域のとき、ジワッとスロットルを大きめに捻って、タイヤが路面に押し付けられる状態を与えることで、かなりタイヤを揉むことができます。同様に前輪もブレーキをジワッと強めにかければ事足ります。もちろん後方に車両がいないときなど、周囲を確認しつつ行ってください。

というワケで、トレッドを摩耗させるまでは必要ないので、ご質問なさっている方も、すでに慣らしは終了していると思います。

ただハイグリップタイヤについては、新品時の慣らしうんぬんより、ツーリング先のワインディングなどで、コーナーを見たらいきなり張り切ってフルバンクなどすると、スリップの危険性が高いことはぜひお忘れなく。グリップ性能を高めたタイヤほど、いちばん大事な減衰力、つまり粘着力より滑り出したとき一気にスリップさせない包容力といったほうがわかりやすいと思います。しかし、このジワッと耐えてくれる性能を得るには、ある程度以上の温度が必要になります。

この温度を高めるのが、慣らし運転のふたつ目に記したタイヤを揉むという作業です。徐々にバンク角を増やしても、荷重がしっかりかかっていない状態では温度上昇を得られず、スリップしやすい状況へ陥りやすいです。バンク角より、しっかり荷重を与えてタイヤを揉むほうが、その後にバンク角が増えてもトータルで滑りにくい安定した性能を得られます。

このようにハイグリップタイヤは、グリップ性能を発揮させるには常にウオーミングアップが必要です。気温や路面温度が低い冬場は誰もが気をつけますが、気温が上がってくるとつい気遣いを忘れがちです。真夏でもタイヤが揉まれていないと、トレッド表面は熱くても中のカーカスまで熱が伝わっていません。タイヤはトレッドだけではなく、全体で性能を発揮するということをぜひ念頭に入れておいてください。

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タイヤは揉まれることで本来の性能を発揮する

タイヤの慣らしは、表面の離型剤を落とすほか、タイヤ本来の性能を引き出すためにも必要。新品タイヤは内部のカーカスが一度もたわんでいないため、トレッド部分と合わせて衝撃を減衰する性能を発揮できてないからだ

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温度依存が高いハイグリップタイヤはウオーミングアップが必要

ハイグリップの場合には、一般的な慣らしとは別の意味で気をつけることがある。これらのタイヤは、本来のグリップを得るためには一定以上の温度が必要。暖かい季節であっても、気を抜かず温めてから走ろう

Words:根本 健 Photos:折原弘之,長谷川 徹