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マフラーの集合方式の違いで何が変わるのですか?【教えてネモケン093】

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リプレイスマフラーには4into2to1だったり、4into1だったり集合方式が違うものがあります。何が違うのでしょうか?

A.集合する部分の形状によって様々な効果が生じ、中速回転域が力強くなったり高回転域の伸びが良くなるなど異なる特徴が得られます

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迫力あるルックス、低周波の凄みのあるサウンド、実用域でのパワフルさ、さらに軽量化によるハンドリング向上までリプレイスマフラーはメリットだらけだ!

サウンド、パワー、軽量化とダイレクトに違いを楽しめる!

4気筒エンジンには、当たり前ですがシリンダーヘッドから4本の排気管が出ています。単気筒や2気筒が主流だった50年代、世界GPでより高出力を得るため、高回転化を狙ってこの4気筒エンジンがデビューしたのですが、その頃から70年代初期まで、マフラーは排気管の本数そのままが連結された4本マフラーでした。4本マフラーはシリンダーが4気筒もあるんだぞという、当時のステータスだったのです。

そこに大きな変化をもたらしたのがヨシムラです。1971年にアメリカのAMAプロダクション・レースで、ヨシムラが初めて採用した4 into 1マフラーのCB750が強みを発揮して以来、集合マフラーなどと呼ばれカスタムパーツで性能を上げる象徴のように言われるようになり、70年代中盤から80年代には一世を風靡するほどの流行ぶりでした。

その後メーカーの標準マフラーも消音効果や排気ガス規制への対応も含め、集合タイプが一般化し大径のサイレンサー2本が主流になるいくつもの変遷を経て、最近ではエンジン下へチャンバーを収めショートサイレンサーなどカタチも大きく変わっています。
そのいっぽうで、カワサキのZ900RSの人気や新型カタナなどトラディショナル・スポーツの復活に伴い、それぞれが蓄積してきたノウハウが反映された、様々なスタイルのリプレイスマフラーがカスタムメーカーから販売されています。
何といっても集合マフラーならではの野太い排気サウンド、中速域からの力強い加速、そして大きなサイレンサーが1本になることやチタンなど素材による圧倒的な軽量化まで、マフラー交換はライダーが直感的に違いを楽しめるカスタムとして変わらぬ大人気を誇っています。

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なぜ集合するとパワーが上がるのか?

皆さんは排気干渉という言葉をご存知でしょうか。4気筒の燃焼室からは、それぞれ爆発によって圧力の高い排気ガスが順番に排出されます。これを一定距離で集める、つまり集合させると排気圧力が作用して、それぞれから排出される排気ガスを引っ張り出す効果が生まれ、中速域からピークパワー域までがスムーズに連続して燃焼効率が向上します。
こうすることで、より高回転寄りにカムのタイミングをチューンしても、パワーバンドを狭めることなく中速域から力強い加速になり、コーナーからの脱出加速が向上して圧倒的なパフォーマンス・アップとなるのです。
さらに全ての排気管を1本に集合させると、ピークパワーを発生する高回転域ではないタイミングで、排気バルブが早めに開いてしまって不完全燃焼になりがちな気筒からのガス抜けを抑え、燃焼効率を高める効果を生むことも広く知られています。
というワケで、4 into 1に始まり4 into 2 to 2のような集合方式も加わったのですが、さらにこの排気の背圧といって圧力の直後に一瞬生じるマイナスの圧力を利用するために排気管が出ている直後で連結したり、4本が集合する部分の形状を工夫することで、ジェット効果を生じてさらにパフォーマンスアップされるなど、様々な方法が次々と開発されています。

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排気口からすぐにエキゾーストを連結したりチャンバーを介するなど様々な工夫が凝らされている

どの手法が優れているのかは、それぞれのパーツメーカーが発表している効果をご自分で確かめるしかないと思いますし、その違いを楽しめるのも大人のバイクの楽しみ方だと思います。
もちろんオリジナルの量産メーカーによる標準マフラーも、乗りやすく設計されていますが、リプレイスマフラーは材量にチタンなどを使うため超軽量な仕上がりになっていて、この重量差が乗り味にも大きく影響したり、美しい焼き色が入っていたりして性能も所有感も同時に満たしてくれるものが数多くあります。様々なメーカーの中で自分好みの見た目と性能にしていく楽しみも、バイクライフを充実させるきっかけになるのは間違いありません。

Photos:
柴田 直行,アールズ・ギア,BITO R&D,海保 研(PHOTO SPACE RS)