What's New

ツーリングをターゲットしたNewトランザルプ【What's New】

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アドベンチャー系アフリカツインとは異なるターゲット

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昨年に発表されたNewトランザルプ。いよいよ5月25日から発売される。
このオフロード走行をイメージさせる、いわゆるアドベンチャー系は世界の各メーカーから出揃うほどポピュラーなカテゴリーになっている。

そもそものルーツはご存じ、パリダカール。
ホンダもXL600の単気筒時代から参戦し、BMWのGS系など大型化していく流れに1986年からVツイン、NXR750を投入して勝利を収めていた。

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そしてサバイバルでマッチョなイメージが主にアメリカで人気となり、BMWはGSでこのカテゴリーのトップセラーとなった。
ホンダもアドベンチャー系と呼ばれるようになったこのカテゴリーに、まさにパリダカールそのままのアフリカツインの車名で1988年にレプリカを投入。 そして2016年から現在のベースとなった新世代CRF1000Lがデビュー、CRF1100Lへと受け継がれている。

ただホンダは当初からBMWのGSを筆頭にアフリカツインでも一般向けにはサバイバルとはいえ、あまりに大きく一般には手にあまるとの考えから、ヨーロッパでは最もユーザーの多いミドルクラスへ、アドベンチャー系のコンセプトをツーリングユースでの使い勝手を融合させたXL600Vトランザルプを1987年に投入。

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オンロードスポーツがパフォーマンス競走で、ツーリング向きではなくなりつつあった状況と、ツーリングスポーツも豪華版のエスカレートが続いていたこともあり、手頃などんな用途でも使いやすいバイクとして人気を得るようになったのだ。

新世代用ユニカム・ツインと新世代スチールフレーム

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そして昨今のスーパーバイクのパフォーマンスに手が届きにくい、もしくはあまりにツーリング向きではないために、このところアドベンチャー系のNewモデルが続々と登場することとなった。

ホンダも頂点モデルのアフリカツインも復活させたが、ライバルも排気量を1,000ccかそれ以上の超弩級クラスをラインアップした後、排気量を900→800→750→700と徐々に下げ、いまユーザーのイメージする使い方に合った機種を提供しようというムーブメントにある。

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ホンダはロードヅポーツCB750(日本では2024モデルから投入?)とベースを共有する、新世代用ツインを開発。
オフ系エンジンで採用してきたユニカムという、吸気側バルブをDOHCのように直押しとし、その1本のカムシャフトにある排気側のカムをロッカーアームを介して駆動する構造。

通常のSOHCとの違いは、吸排のバルブ間にカムシャフトがないことで、バルブの挟み角を平行に近づけるほど立てることが可能になり、燃焼室のフラット化で高圧縮と火炎伝播の効率アップを得られるメリットがある。

またトラクションの路面グリップの良い、不等間隔爆発の270°位相クランクを採用したため、この爆発振動とピストンの往復偶力の両方を適度なレベルにする2軸バランサー、そしてアシストクラッチとスリッパー機能を融合するなどスムーズ且つエンジン特性がどこでもピックアップが力強い特性賭している。

フレームもスチール製だがメインのダイヤモンド構造を、パイプではなく鋼板の加工と組み合わせる凝ったつくり。
オフでの縦方向の衝撃に強靭で、コーナリングで扱いやすいしなやかさとを併せ持つ設計がされている。

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ツーリング・カテゴリーがニーズとして定着するかが課題

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XL600Vトランザルプは、その名の通りヨーロッパのアルプス越えなど、天候が不安定なルートでも、たまに非舗装路があっても対応可能な、アドベンチャー系ほど使い手の腕がなくても乗れる身近さが好評で、実はヒット作の1台でもあったのだ。
そんな当時を思い起こさせる、使い勝手の良い旅バイクとしての素性を活かすため、パニアケースをはじめ様々なヘビーデューティ仕様のオプションが多数用意されている。

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前輪21インチ、後輪のタイヤサイズも控えめで、トラコンをカットできるなど腕の立つライダーが非舗装路へ踏み込んでも楽しめる設定も豊富だ。
ただ我が国では林道でもこのサイズはやや大きい。

しかしオフ系ハンドリングの、舗装路では神経質な面がほぼない親しみやすさは、ツーリングバイク向きなのは、既にアドベンチャー系でツーリングするライダーの多さからも一目瞭然だ。
寒い時期の高速道路など、ウインドプロテクションの優劣が疲労にモロ影響するのに対し、こうしたアドベンチャー系のカウルは有り難い。

何れにしてもトップスピードやバンク角に醍醐味を求めるバイクとは一線を画したこのカテゴリーが、ツーリングユースの主力となるかは今後のツーリングスタイルにかかってくる。
日本での使われ方で磨かれた機種へと育っていくのが理想だが、スマホとの親和性などユーザーへの便利機能のアピールなど、走行性能以外のフィーチャーをもっと伝え、最新世代のバイクとして認知されるべきタイミングだと思う。

SPEC

Specifications
HONDA XL750 TRANSALP
エンジン
水冷4ストロークOHC4バルブ2気筒
総排気量
754cc
ボア×ストローク
87.0×63.5mm
圧縮比
11対1
最高出力
67kW(91PS)/9,500rpm
最大トルク
75N-m(7.6kgf-m)/7,250rpm
変速機
6速
フレーム
ダイヤモンド
車両重量
208kg
キャスター/トレール
27°00’/111
サスペンション
F=テレスコピック倒立
R=スイングアーム+プロリンク
タイヤサイズ
F=90/90-21 R=150/70R18
全長/全幅/全高
2,325/840/1,450mm
軸間距離
1,560mm
シート高
850mm
燃料タンク容量
16L
価格
126万5,000円(税込み)