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MVアグスタがEICMA2025でトリプルカム5気筒エンジンコンセプトを発表!【What's New】

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ALAN CATHCART ARCHIVES
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誇らしげにCINQUE CILINDRI engine conseptを展示、将来のF5に搭載するNewエンジンのプロトか?

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イタリアはミラノで開催されているEICMAは、世界中のバイクメーカーから2026年モデルや次期コンセプトモデルが展示され多くのジャーナリストで賑わっている。
その中で何の前ぶれもなく姿を現したのが、MVアグスタのCINQUE CILINDRI engine consept、5気筒エンジン・コンセプト。
いっさいの説明・解説がされていないので、外観から想像するしかないが、いずれにしても5気筒であるのを示す前側に3本のエキゾースト、後ろ側には2本のエキゾースト、そしてシリンダーヘッドの上に、前側に吸気2バルブ×3気筒で6個の吸気エアファンネルが並び、後ろ側には2バルブ×2気筒で4個の吸気エアファンネルという構成。

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注目されるのが赤いヘッドカバーに膨らんだカムシャフトの存在で、前後に3本が並んでレイアウトされている。
これは排気側カムシャフトが両端で、吸気側カムシャフトを中央で前側3気筒と後ろ側2気筒で共用した配列。
通常の吸気側と排気側で2本あるDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)に対し、トリプルカムシャフトとでも表現できるニューメカニズム。
これはクルマではフォルクスワーゲンのVR5エンジンや、コンセプトモデルだが1985年の東京モーターショーに展示されたスズキのファルコラスティコにも搭載されていた。

そして最も気になるのがクランクシャフトとシリンダー配列。
外観からシリンダー形状とエンジン左側のジェネレーターカバーの位置に後ろ2気筒のクランクシャフトが想像できる。
つまり前側3気筒と後ろ側2気筒は、それぞれクランクシャフトがある2本クランクで、ギヤ連結されているように見える。
もしくはクランクシャフトは右側に見える1本のみで、狭角15°ほどのVバンクにシリンダーが配列されたV型5気筒も可能だ。

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この2本クランクにしてもV型5気筒にしても、モーターサイクルへ搭載するにはMVアグスタらしい理想のハンドリングを得るための、いわば必然のレイアウトと呼べるもの。
一般的な並列(インライン)4気筒がクランクシャフトとシリンダー前傾角との関係は、前輪側への荷重とリーンなどのアクションで重心が移動するバランスを一定にしやすいカタチを形成している。
対して、V型4気筒は後ろバンクの2気筒がエンジンの重心をクランクシャフト近辺から分散させて、リーンなどの動きに前輪荷重が変化しやすくハンドリングを一定に感じにくい傾向にある。
これを解決するのが、今回のMVアグスタ5気筒レイアウトだ。
このリーンに対して馴染みやすい重心との関係に加え、エンジン幅がご覧のようにほぼ3気筒と変わらないスリムさも、運動性で優位なのはいうまのもない。
果たしてどのような進化熟成を経て、市販車としてデビューするのか、従来の3気筒F3や究極の4気筒F4に冠した車名に倣い、F5と呼ばれるシリーズとなるのか、ファンには今後に目が離せない存在となるのは間違いない。