日伊ネイキッド対決! 国産1,000cc/4気筒に、イタリアン800cc/3気筒が挑む!
筑波サーキットでもっとも盛り上がっているイベントレース。それがテイスト・オブ・ツクバ(2020年11月7-8日の大会は無観客で開催)だ。
参加車両はちょっと前&かなり前の国産4気筒がメイン。ZやCBがパドックにズラリと並び、2ストロークの匂いや音も感じられる。そして、そんな往年のバイク達が信じられないタイムで走る、そのギャップがテイスト・オブ・ツクバ(以下、TOT)の魅力だ。
TOTのトリともいえる、なんでもアリのハーキュリーズクラスは1分58秒台という驚異的なタイムを記録。全日本ロードレースの現役ライダーである加賀山 就臣選手もGSX-R1000エンジンをオリジナルの鉄フレームに搭載したカタナルックのマシンで参戦するが、それでも勝たせてもらえないレベルの高いレースが繰り広げられている。
ブルターレらしさを残した佇まい。シートやヘッドライト周りはレーサー用にすれば大幅な軽量化が見込めるが、それだとブルターレで参戦している意味がない
MVアグスタのポテンシャルを知りたい! 伝えたい!
前置きが長くなったが、そんな国産車が集まる中に一際異質な存在を放っているレーサーがある。それが水戸のMVアグスタディーラー“キャラメルモータース”とライダー兼マシンオーナーである菊地 純さんがF-ZERO(比較的新しめの鉄フレームのバイクが参戦するクラス)で走らせるMVアグスタのブルターレ800レーサーだ。
キャラメルモータースは、2019年の秋の大会からTOTに参戦。昨年は予選でトラブルがあり、決勝を走ることができなかったが、2020年はリベンジに成功。ベストタイムは予選で記録した1分0秒839。決勝はZ1000、CB1000R、ZRX1200という国産リッターネイキッドとの混走で5位に入賞した。
「このブルターレ800レーサー、乗ってみませんか?」ライダーの菊地さんからそんなお誘いをいただいた。
僕はキャラメルモータース代表の磯野さんともライダーの菊地さんとも長い付き合い。
磯野さんは水戸でMVアグスタディーラーを初めて約5年。2人は2017年にはMVアグスタF3で鈴鹿4耐にも参戦。そこでも国産600ccスーパースポーツに対抗してきた。
「3気筒のポテンシャルを知りたいんですよ。誰もやってないからわからない。開拓する感覚ですかね〜。それがお客様へのフィードバックになるといいなぁと思うんです。MVアグスタってモーターサイクルアートって言われるじゃないですか。確かに置いておくだけでカッコいいけど、走ってポテンシャルを見せたい、証明したい」と磯野さん。
「800ccの3気筒ってMVアグスタでいちばんユーザーが多いエンジン。いろいろなことをフィードバックしたいですね」と菊地さん。
イタリアンな佇まい。美しさと速さは共存するのか⁉︎
マシンの仕上がりは本格的なレーサー、という雰囲気ではない。保安部品を外し、マフラーを変更。ブルターレらしさを残した仕上がりで、だからこそ国産勢の中で一際異質な雰囲気を漂わせているのだろう。
鉄フレームのバイクが出場できるクラスだが、MVアグスタのスチールトレリスフレームは、その中でも群を抜く美しさを見せる。
「本当にタイムを狙うならシートもヘッドライトも外さないといけないけど、それだとブルターレってわからなくなっちゃう」と磯野さん。
実は走るまでそのポテンシャルは、まったく想像できなかった。市販ブルターレはスポーティではあるが、レースをするイメージにならないからだ。だからこそ菊池さんの叩き出した1分0秒8は驚異的。そんな興味もあって僕は試乗したいなぁと思ったのである。
果たしてキャラメルモータースのブルターレレーサーのポテンシャルとは? そして磯野さんや菊地さんがユーザーにフィードバックしたいものとは何なのだろう?
Vol.2ではインプレッションをお届けします。
マフラーは鈴鹿のTSRとの共同開発。エキパイは、チタンの板をリング状して、それを繋ぎ合わせることで理想的な径と曲率を実現。サイレンサーは、様々な中身の形状をテスト。サイレンサーのデザインは今後、要検討。詳細を詰めて、キャラメルモータースのオリジナルマフラーとして販売していく予定だ
フロントフォークはF3からの流用で、オーリンズ製のインナーカートリッジを組み込む。ディスクはキャラメルモータースとサンスターがコラボして製作したワークスエキスパンド。コントローラブルーなフィーリングが魅力だ。リヤサスはアンドレアーニチューンのオーリンズ製TTX