11月8日、MotoGP第13戦ヨーロッパGPの決勝レースがスペイン・バレンシアのサーキット・リカルド・トルモで行われた。
ヨーロッパGPは金曜日、土曜日とウエットコンディションでの走行。ドライコンディションとなったのは、決勝日。
ウエットコンディションで走行を続けてきたライダーたちにとって、決勝日だけドライコンディションで挑まなければならないという難しいレースとなった。
Moto3クラス
小椋藍(Honda Team Asia)は3列目8番グリッドからスタート。1周目で6番手に浮上。しかし2周目の4コーナーで、小椋の前を走っていたセレスティーノ・ビエッティ(SKY Racing Team VR46)とアロンソ・ロペス(Sterilgarda Max Racing Team)がクラッシュ。小椋は転倒を避け、レースを続行。
一方、4番手を走っていたアルベルト・アレナス(Valresa Aspar Team Moto3)のバイクの後部にロペスが接触し、アレナスの右側のペダルが壊れる。小椋とチャンピオンシップを争う、ランキングトップのアレナスは、このためにピットイン。修復後レースに復帰したが、表彰台争いからは脱落することになった。
レース中盤から終盤にかけて、小椋は4番手付近につけて周回を重ねる。レースをリードするのはラウール・フェルナンデス(Red Bull KTM Ajo)。Moto3クラスのレースでは終盤まで長い隊列を組んで激しいポジション争いが繰り広げられ、トップも入れ替わりが激しいことが多いが、今回のレースでは序盤からフェルナンデスが独走体勢を築く展開となっていた。
単独でトップを走るフェルナンデスの後方では、トニー・アルボリーノ(Rivacold Snipers Team)が2番手集団をけん引。このなかで小椋はセルジオ・ガルシア(Estrella Galicia 0,0)やダリン・ビンダー(CIP Green Power)とともに、ときにポジションを入れ替えつつ4番手付近をキープ。
そんななか、13周目にアレナスに対し、ブラックフラグが提示される。これは、アレナスが周回遅れにもかかわらず、2番手集団のなかでポジション争いをするように競い合って走ったためで、アレナスは失格に。
最終ラップを迎えたとき、小椋は4番手。ビンダーは2番手集団から脱落し、アルボリーノ、ガルシア、小椋が表彰台争いを繰り広げる。3番手を走るガルシアは、最終ラップに入るメインストレートでアルボリーノの前に出ると、1コーナーでオーバーテイク。ガルシアが2番手に浮上。
4番手をキープしていた小椋は、6コーナーでアルボリーノのインに入り、オーバーテイク。3番手にポジションを上げる。2番手に浮上したガルシアとの差は少し開いており、アルボリーノは小椋に背後にぴたりとつける。しかし、小椋はアルボリーノを抑えきり、3位でチェッカーを受けた。
小椋にとって第8戦エミリア=ロマーニャGP以来の表彰台獲得となった。チャンピオンシップでは、ランキングトップのアレナスが失格により0ポイント、小椋は16ポイントを獲得したことから、小椋はアレナスとの差を3ポイントまでに縮めた。
また、國井勇輝(Honda Team Asia)は、18番グリッドからスタート。レース序盤はポジションを落として22番手付近のレースとなった。しかし中盤には18番手に浮上。ポジションをキープして周回を重ねると、終盤には17番手にポジションを上げる。そのままフィニッシュし、17位でレースを終えた。
小椋藍 (Honda Team Asiaプレスリリースより)
「この表彰台にはとても価値があります。シーズンの序盤から中盤まで、僕はほとんど表彰台に立っていました。ここ最近の数戦は厳しかったのですが、決してあきらめませんでした。いつもならバレンシアはあまり得意ではないのですが、表彰台を再び獲得できてうれしいです。また、チームにとってもこの表彰台は重要です。いい形で戻ってこられたと思います」
小椋は5戦ぶりに表彰台を獲得
國井勇輝 (Honda Team Asiaプレスリリースより)
「初めてポイント獲得に近づきました! いいスタートを切ったのですが、2コーナーで誰かが僕に当たったんです。それでワイドになってしまい、かなりポジションを落としてしまいました。もう一度グループに加わろうとトライしました。ペースはあったのですが、遅すぎました。今週は違ったやり方でレースに臨み、これはうまくいったと思います。次週もここバレンシアでのレースです。予選をよくする必要がありますし、もっと戦略的に戦う準備をしたいと思います」
自己ベストリザルトまであと一歩の18位フィニッシュの國井
Moto2クラス
Moto2クラスでは、アンディ・ファリド・イズディハール(IDEMITSU Honda Team Asia)が自己ベストグリッドとなる12番グリッドからスタート。ソムキアット・チャントラ(IDEMITSU Honda Team Asia)は後方の26番グリッドからのスタート。
4列目からスタートしたアンディだが、オープニングラップで22番手にまでポジションを落とす。一方、チャントラは23番手にポジションアップ。2周目にはチャントラがアンディを交わし、20番手に浮上。
チャントラはその後、さらにポジションを上げて17番手を走行していたが、10周目に転倒を喫してリタイア。
アンディは一時は16番手を走行。終盤には後退したが、最終的に自己ベストリザルトとなる18位でフィニッシュ。
アンディ・ファリド・イズディハール (IDEMITSU Honda Team Asiaプレスリリースより)
「昨日の予選で、自分にとって最高の予選順位である12位を獲得しました。今日は、まずしっかりとスタートを決めることでしたが、経験の無い中盤の位置から初めてスタートしたこともあり、スタート後の走り方の経験をもっと積む必要を感じました。スタート後のターン1では、ポジションをキープしようとしましたが、周りを走るライダー達はとてもアグレッシブで、その中の一人と接触しました。ターン4ではハイサイドを起こしかけ、さらにポジションを落としてしまい、1ラップ終了時点で8つも落とすことになりました。その後は、上位集団を捉えるべく、ペースを維持し、ポジションの維持に努めました。残り7ラップの時点で、16位でしたが、フロントタイヤのグリップがすでに落ちていて、それ以降は、しっかりと完走することに切り替えました。今回のレースからも多くの事を学び、上位集団で走るためのペースが必要であることを知りました。来週のレースでもしっかりと走ります」
アンディはスタートに失敗したが、18位まで挽回
ソムキアット・チャントラ (IDEMITSU Honda Team Asiaプレスリリースより)
「今日の問題の始まりは、グリッド位置にあり、それは昨日の予選結果がすべてであったということです。スタートは上手く決まり、上位集団に迫るチャンスを得ました。しかし、9周目を過ぎた時、他のライダーのスリップストリームを使っていたのですが、その影響で私のフロントタイヤの温度が上がりすぎ、ターン6でスリップし、転倒してしまいました。来週は今週の反省を生かして、レースが出来るようにします」
一時は16位を走っていたチャントラ。惜しくも転倒リタイア