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リヤブレーキを減速以外で使う便利なコツ【ライドナレッジ092】

Photos:
藤原 らんか

リヤブレーキを軽くかけたままジワッと加速

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たとえば低速で隊列を組んで、前車との距離を保たなければならないとき、スロットル操作だけではギクシャクしがち。そんなときリヤブレーキを軽くかけたままスロットルを開け閉めすると、チェーンやシャフト駆動のバックラッシュ(チェーンやギヤの遊び)がキャンセルされ、スムーズに徐行できたりする。
実はこのリヤブレーキを使うと「カドのとれたスムーズさ」が得られるため、他の神経質なシーンでも安心と乗りやすさを手に入れることができるのだ。

かけるとリヤがちょっと沈む特性を利用する

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リヤブレーキは、回転している後輪に制動をかけるので反作用としてスイングアームを上に押し上げるチカラが働く。もしくは低速でもリヤサスの動きを抑える効力も作用する。
普段は路面追従性や様々な運動性を妨げない要素として、サスペンションは抵抗なく動いてくれるほうが良いのだが、シチュエーションによってはこの後輪を押さえ込む効果が功を奏したりする。
たとえばアップダウンが続く山の中で小さなコーナーが連続すると、フロントブレーキをかけてリリースでリーンのタイミングをつくるタイミングや距離が不足する。
そこでフロントではなくリヤブレーキだけをジワッとかけ、放しながらリーンすると向き変えができるのと、そこが上りのヘアピンならスロットルも少し開けたまま同時に操作すれば、ギクシャクせずに曲がりながらスムーズにゆっくり加速へ移行できる。
このリヤブレーキをちょっとかけると、車体が一瞬きっかけづくりに向いたストップモーションをするので、あまり加減速しない緩やかなS字カーブが連続するシーンや、直線から120°くらい浅く曲がった入り口でも、タイミングよく使うと身体の重心移動ナシのイージーライディングも可能だ。
ただあまり頻繁にリヤブレーキを強くかけたり、少し踏んだままが長く続くと、元々高熱に晒される前提ではないため、ブレーキパッドが焼けて全く効かなくなったり、ブレーキオイルが沸騰して何も反応しなくなったりするのでほどほどにしておくのもお忘れなく。

ウエットなヘアピンでは使いまくるベテランが多い

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ベテランにとってこのリヤブレーキをかけたままスロットルを開ける操作は、ウエットな路面でのヘアピン遭遇となると使いまくるライダーが圧倒的に多い。
一番のメリットは滑りやすい状態で、後輪に加速がはじまるショックを抑えられること。
濡れてグリップが良くないとき「カドのとれたスムーズさ」が得られる加速は、余計な心配をせずに済むため使いまくることになる。
経験のないライダーは、リヤブレーキの遊びをキャンセルした位置からジワッと踏み込んだ状態がどこなのか、練習を積んで掴んでおくことが大事。
またリヤブレーキを軽くかけたまま、エンジンの低回転域でスロットルを開けていくときの感触も、最初は真っ直ぐな状況で繰り返し試して掴んでおこう。
慣れてくるとリヤブレーキを緩めると、スッと加速へ移行するスムーズさがクセになるかも。

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