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寒い時期は腰だけのリーンインが安心【ライドナレッジ112】

Photos:
藤原 らんか,Shutterstock

上半身をインへズラすと、曲がりはじめるレスポンスが遅いのと
路面コンディションが良くないと効果が低い

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寒ければと路面温度も低く、当然のことながらタイヤも滑りやすい。そうした状況で曲がりくねったワインディングを走るとき、バイクのバンク角を抑え身体だけ重心を内側へズラすリーンインのフォームをとるライダーが多い。

ただこのリーンイン、上半身だけ内側へ入れるフォームだと条件が揃っていないと効果もそれほどでなかったりする。
まず曲がりはじめるまでのレスポンスが遅くなる。上半身を横へズラしている動きの間、バイクはやや曲がりはじめるものの重心位置が安定したときの旋回まで曲がり方は鈍い。

またサーキットならともかく、あまり上半身が車体から離れた位置関係となると、バンク角は浅くてもリヤタイヤへ横方向に遠心力が働き、ズズーッと外側へ徐々にスライドする可能性もある。
旋回時間が長いコーナーで、路面も良好であればウエットなどで効果を発揮するが、条件が良くないときはあまりお奨めできない。

少しズラしたお尻のアウト側でシートへ体重を載せ
アウト側の膝頭と太ももで車体をホールド

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路面温度の低さにタイヤのスリップを警戒するリーンインは、ツーリングなど一般道路では下半身だけにしたほうが安心だ。
カーブがはじまる箇所のひと呼吸だけ手前から、お尻の片方のほっぺひとつ分だけイン側へズラし、そのアウト側のお尻でシートへ体重を載せ、曲がろうと思うときに上半身から腰までの内側でダラッと支えていたのを緩めると、体幹で重心が内側の下方向へ移動するので、遅れることなく曲がりはじめる。

このとき、アウト側の膝頭から太ももで車体をホールドすると身体もバイクも安定しやすい。膝頭と太ももの皮膚がタンクのニーグリップ部分やシートの接している面とで、僅かにたわむ程度に押し付けるのがコツ。
筋肉が緊張すると接している面がベタッとはりつかなくなってホールドするグリップ力が堕ちるので、くれぐれも力まないよう気をつけよう。

リヤタイヤでトレッド幅の内側からリーンしていくイメージで

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また浅い角度にせよ、リヤタイヤを傾けるわけで、お尻をズラしているからリーンインになると成りゆきまかせにせず、リヤタイヤのトレッドのワイドな幅の内側から傾くイメージで身体を預ける。
お尻半分がズレていても、腰で車体を捻るアクションは曲がりはじめを遅らせるのでNG。上半身ごと倒れ込む感じでクッときかっけが入るのが良い。

このリーン、寒いときはバンク角が30°未満、20°ちょっとしか傾けない、一瞬のアクションでしかないのが理想。これがうまくできるようになると、曲がりはじめたタイミングで進路が折れ線のようにカクッと変えられる。
この向き変えと呼ぶ、バンク角が浅くても進路が変えらえるようになると、先の見えないブラインドカーブでも、回り込んだ地点を発見してからでも慌てず対応できる余裕がもてる。
寒いときだからこそ身につけやすいテクニックともいえるワケで、浅いバンク角で曲がれるステップアップをぜひ心がけておきたい。