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このバイクに注目
DUCATI
MONSTER / MONSTER+
2021model

【ドゥカティ・モンスター】その車名の由来は? 変わらないものと、消えていくものと、誕生したもの。

改めて振り返るとモンスターは凄まじい勢いで変化している。しかし、そのモンスターは1人の男がこだわらなければ誕生していなかったかもしれないのだ

ドゥカティにネイキッドは必要ない」しかし、デザイナーのガルーツィは諦めなかった

モンスター誕生のきっかけは、デザイナーのミゲール・ガルーツィが当時のスーパーバイクである851のストリップ写真を見たことから始まった。「自分が乗りたいバイクはこれだ。レース用カウルは必要ない」その写真を見た時、そう思った。ガルーツィは何度も当時のボスであるマッシモ・ボルディに交渉するが「ドゥカティにネイキッドは不要」と、なかなか説得できなかったという。

そこで、ガルーツィは独断でスタート。851のフレーム、900SSのエンジンを手に入れ、小さな小屋でそれをカタチにしていった。「他に何もつかないのか?」これがドゥカティ経営陣が試作車を初めて見た第一声だったという。そして1991年末にまずはディーラーに発表。この時にすでにフランスのインポーターから1,000台の注文が入った。その後、1992年のケルンショーで一般公開となったのだ。

しかし、ケルンショーでのプレスキットの車名はモンスターでなく、M900だった……。

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1992年のケルンショーで発表されたモンスター。スーパーバイクのフレームにLツインエンジンを搭載。NEWモンスター はスーパーバイクの思想でネイキッド化している

モンスター、その車名の由来は?

ガルーツィがこのプロジェクトを始めた頃、イタリアではモンスター・イン・マイ・ポケットというゲームが流行っており、子供たちはそのゴム製モンスターを集めるのに夢中だった。ガルーツィも帰宅すると子供達から毎晩「モンスター、買ってきた?」と聞かれたという。そこでガルーツィはプロジェクトコードをモンスターに決めた。

しかし、なかなか車名にはならなかった。結局、ケルンショーでもカタログはM900のままだったのだ。しかし、ケルンショーの会場では皆がモンスターと呼んでいた。それはディーラーに発表していた際にガルーツィがモンスターと呼んでいたから。さらにその際に1,000台注文したフランスのインポーターが、モンスターの名でフランスのメディアに紹介していたからである。

こうしてモンスターは誕生したのである。

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トレリスフレームがないだけでとても新鮮な佇まいになる。エンジンの存在が際立ち、とてもスリムなバイクに見える

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逆光のシルエットに写るNEWモンスターのシルエット。シンプルだけど細部まででザインされているのがわかる

熟成、進化を繰り返しながらも、変わらないLツインエンジン

モンスターの中で変わらないものがドゥカティの伝統ともいえるLツインエンジンだ。Newモンスターに搭載されるエンジンは、ユーロ5規制に適合した水冷937ccテスタストレッタ11°。スーパースポーツやハイパーモタードで育まれ、スポーティでありながらも扱いやすく、ツーリングにも適している。

最高出力は111ps、最大トルクは93Nm。以前のモンスター821と比較して、排気量、パワー、トルクがアップ。特に低中回転域におけるトルク特性を重視し、日常域でもLツインエンジンならではの魅力を感じとることが可能だ。エンジン重量は2.4kgも削減。バイクの重心であるエンジンの軽量化は、当然ハンドリングの軽快さに貢献する。

タンクのデザインも変わらないモンスターらしさだ。モンスターのシンプルで美しいフォルムを構成するのに欠かせないアイテムである。ボリュームはあるけれど、ニーグリップ部分はシャープに絞り込まれ、よく見るととても複雑な形状をしているし、前後長も少し短くなっている。

また丸型ヘッドライトはモンスターのアイコンとして世代ごとに進化しているアイテム。LEDヘッドライトは、LEDデイタイムランニングライト(DRL)を組み込み個性的なフロント周りを演出する。

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夜なら一目でモンスターとわかるフロントマスク。前後灯火類はすべてLEDで、ウインカーは流れるように点滅。そこでも存在感を主張する

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ツーリングモードは、最高出力111psのまま、スロットルレスポンスは扱いやすい設定に。DTCの介入レベルが引き上げられ、ABSのレベルは3に設定。リヤホイールのリフトアップ防止機能は中程度に設定される。DWCは、リラックスしたライディングに最適なレベルに調整される

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スポーツモードを選択は、最高出力が111ps。スロットルレスポンスはダイレクトな設定となり、DTCの介入レベルは引き下げられ、ABSはレベル2に。リヤホイールのリフトアップ防止機能は中程度に設定。DWCの介入レベルはスポーティな設定となる。

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アーバンモードの最高出力は75ps。スロットルレスポンスは、扱いやすい設定となる。DTCは強く介入し、ABSも最高レベルの3に設定され、最大限の制動安定性を確保。リヤホイールのリフトアップ防止機能も最大レベルに設定される

消えたパイプフレーム。新たに誕生したフロントフレーム

Newモンスターを見た瞬間の違和感は、一見しただけではフレームがないことだ。これまでモンスターはスチールトレリスフレームを採用し続けてきた。

シート周りを見るとフレームがないため猛烈にスリムなのがわかる。この足着き性の良さを実現したのがスーパーバイクであるパニガーレ譲りのフロントフレームだ。とてもコンパクトなこのフレームは、モンスター821のトレリスフレームよりも4.5 kgも軽量で、その重量はわずか3kg。ちなみに、ホイールは1.7kg、スイングアームは1.6kg、リヤフレームは1.9kg軽量化され、NEWモンスターは、モンスター821と比較して18kgもの軽量化を実現している。

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フレームがないためホールド感が高い。もっと小さな排気量のバイクに感じるほど。このタンクのシェイプは何度やり直したんだろう……イタリアンのこだわりを感じずにいられない

モンスターはモンスターらしく磨き込まれていく

ネイキッドでここまで電子制御を搭載するモデルは少ない。他メーカーだとスーパースポーツなどの上位機種に装備されがちな電子制御だが、ドゥカティはモンスターにもフル装備する。
出力特性を変化させるライディングモードは、スポーツ、ツーリング、アーバンから選べ、このモードを切り変えることで、トラクションコントロールやABSなどの介入度が変化。もちろんシフトアップ&ダウンに対応するクイックシフトも装備する。その電子制御の状況はカラーTFTメーターで分かりやすく管理され、ライダーにバイクの状況を提供してくれるのだ。

だからオーナーは自分の好みはもちろん、天候や路面コンディションに合わせてモンスターを変身させることができるのだ。
電子制御は速く走るために必要なものだろう。しかし、モンスターの電子制御は毎日のライディングを楽しむために必要なものでもあるのだ。

軽量で、扱いやすく、俊敏で速いバイク。それがNEWモンスターだ。これが楽しくない訳がない。

「バイクに必要なのは、ひとつのエンジン、2つの車輪、燃料タンク、ハンドルバー、それらを取り付けるいくつかの金属だ」とモンスターを生み出したガルーツィは言っていた。そしてそれで良いことをモンスターが証明してきた。そのコンセプトは、よりシンプルになったNEWモンスターにも受け継がれているのがよくわかる。ガルーツィも28年後にモンスターがここまで成長しているとは想像もしていなかっただろう。

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銀座4丁目の交差点を押していたら20時でネオンが消灯された。真っ暗な銀座は不気味な雰囲気だったが、早くこの状況が変化することを願いたい

SPEC

Specifications
Ducati Monster
エンジン
デスモドロミック・テスタストレッタ11°水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒
総排気量
937cc
ボア×ストローク
94×67.5mm
圧縮比
13.3対1
最高出力
111ps(82kw)/9,250rpm
最大トルク
93Nm(9.5kgm)/6,500rpm
変速機
6速
フレーム
アルミニウム
乾燥重量/装備重量
166kg/188kg
キャスター/トレール
24°/93mm
サスペンション
F=テレスコピックφ43mm倒立
R=スイングアーム+モノショック
ブレーキ
F=φ320mmダブル R=φ245mm
タイヤサイズ
F=120/70ZR17 R=180/55ZR17
軸間距離
1,474mm
シート高
820mm
燃料タンク容量
14L
価格
144万5,000円~
協力/ ドゥカティジャパン