あくまで公道走行重視の独自路線でクラスTOPの売れ行きに!
1979年のZ400FXにはじまりGPz400Fへと、カワサキは空冷DOHC400cc4気筒で他をリードする成功を収めてきた。
その後継として1985年にリリースしたGPZ400Rは、エンジンが水冷化したDOHC16バルブ4気筒で何と他ではヒットしないフルカバードボディ。
ライバルたちがレーサーレプリカ路線へと傾倒していくなか、カワサキはスポーツツーリング・カテゴリーに向いたやや大きめの車体と独自のコンセプトを貫いた。
Cd値を0.29以下に収めたヘッドライトからフラッシュサーフェイス化したフルカウルボディとフィットさせた、オールアルミのALクロスフレーム(同時開発のGPZ600Rはスチールフレーム)、さらに前後16インチで低重心化を走りに込めた革新的な仕様にもかかわらず、GPZ400Rはデビューから2シーズンを400ccクラスでトップセラーの位置を獲得してみせたのだ。
初の水冷化されたエンジンは、56mm×40.4mmと空冷世代よりショートストローク化、398ccで59PS/12,000rpmと3.6kgm/10,500rpmを発揮、しかも思いきりコンパクト化するなど空冷より1kg軽量化している。
ただ重量的に嵩張るメイン(センター)スタンドを、ツーリングバイクとして装備するなど、レプリカ系にはない重量増で乾燥重量でも176kgと手応えのある重みを感じさせた。
しかし地を這うような安定感と、アルミフレームをエンジン前方まで延ばした運動性と剛性バランスの良さで、走れば軽快で扱いやすいハンドリングは評判となり、大型バイクに近い車格と相俟って人気を独り占めする勢いを得ていたのだ。
あまりの人気に次世代でも併売!
このライバルメーカーも驚く、フルカバードでレーサーレプリカ的でない仕様にもかかわらず、2年間トップセラーを続けた人気は、カワサキがその後継として投入したGPX400R、さらに続くZX-4をもってしても凌げず1989年まで併売されるという人気を誇った。
ただ内容的にはGPX400Rで変更になった部、エンジンやアンチダイブなどを受け継ぎ進化を遂げていたのだ。
またこのGPZ400Rと共通のエンジンを搭載したネイキッド、FX400Rも1985年からリリースしていたが、1989年までその存在も知られないほど注目を集めなかった。
というほどGPZ400Rのインパクトは、カワサキ自身も手がつけられないほどだったということになる。
レーシーなバイクがメジャー化していくなか、独自路線で公道優先のコンセプトにユーザーが賛同していたのが忘れられない。