kawasaki_zephyr750_20240604_main.jpg
このバイクに注目
KAWASAKI
ZEPHYR 750
1990~2006model

空冷ザッパーの直系DNAが昇華したZEPHYR750!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

アメリカで名を馳せたZ650ザッパー直系の750ネイキッド!

kawasaki_zephyr750_20240604_01

1990年にデビュー、2006年モデルまで存続したゼファー750。
DOHCのトラディショナルな4気筒は、アメリカで大成功を収めた900ccZ1の爆発的人気を、腕に自信のあるミドルクラスのライダー向けに1976年にリリースした自信作、Z650に端を発したザッパー(カッ飛んでいくバイクの風切り音をイメージしたカワサキ造語!)直系だ。

kawasaki_zephyr750_20240604_02

1989年のゼファー(400)で湧き上がったネイキッド・ブーム。この流れをビッグバイクでもという勢いに乗ったカワサキは、1990年にこのゼファー750と1992年にはゼファー1100とさらに大型のモデルも投入した。

ただ1991年に東京モーターショーで展示され翌1992年から発売されたゼファー1100は、750版とは違ってアメリカ向け大型ツアラーのボイジャー1200に搭載された水冷4気筒エンジンがベース。
これをシリンダーから上をわざわざ空冷仕様に設計し直すという、特異な素性のパワーユニットを搭載したまったく系統の違うモデルだ。

kawasaki_zephyr750_20240604_03

このエンジンからフレームまで、素性の異なるふたつのBIGゼファーは、1100に乗る貫録を選ぶライダーと優れたハンドリングコーナリングを楽しむライダーとに分かれていた。

トラディショナルな構成に秘められたWクレードルフレームとファインチューン4気筒!

kawasaki_zephyr750_20240604_04

その走り屋が選ぶゼファー750は、かつてZ650からGPz750に至るまでザッパーシリーズで定評のあった空冷2バルブエンジンがベース。
738ccで68PS/9,500rpm、ホイールベースは1,450mmで前後17インチのホイール径とまさに走りを前提とした設定。
乾燥重量200kgと相まっていかにも走り屋仕様というアピールが明確に伝わり、レーサーレプリカに辟易としていたライダーは大歓迎だった。

kawasaki_zephyr750_20240604_05

1990年のデビュー以来、大きな変更はないまま2006年モデルまで継続したゼファー750。
ダブルクレードル・フレームは、エンジンを囲んだ完全ループのいかにもハンドリングを最優先したこだわりのつくり。
スイングアームピボットの強度に配慮した設計は稀な存在で、ゼファー1100や他のモデルでも採用されていない。
カラーリングのバリエーションも、いかにもカワサキらしい渋いトーンのバリエーションがイヤーモデルとして投入されていた。
1996年からは、RS系としてスポークホイール仕様も加わり、燃料タンクにはZEPHYRエンブレムではなくKAWASAKIロゴが貼られ、Z1イメージをより強めている。

kawasaki_zephyr750_20240604_06

当然ファイヤーボールとイエローボールの、伝統的かつ情熱的なトラディショナル・カラーリングも存在した。

kawasaki_zephyr750_20240604_07
kawasaki_zephyr750_20240604_08

このゼファー750エンジンは、ヨーロッパのミドルクラス向けにZR-7として、全く異なる設計とデザインで人気モデルとなり、ゼファー750を遥かに上回る生産台数をマークしていたのだ。

kawasaki_zephyr750_20240604_09

こうしたミドルクラスのトラディショナルな定番スポーツは、世界でいまも多くのニーズがあるものの、日本メーカーからはリリースされなくなって久しい。
あの定評だった前輪がややアンダー気味に、安定した旋回で万人が心置きなく愉しめるスポーツの復活はないのだろうか。