kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_main.jpg
このバイクに注目
KAWASAKI
ZX-10(ZX1000B)
1988~1990model

カワサキGPZシリーズから世界最速を受け継いだZX-10!【このバイクに注目】

Photos:
KAWASAKI

GPZ1000RXを脅かしはじめたライバルから最速を奪還!

kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_01
kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_02

1984年、それまで空冷DOHC4気筒で牙城を守り続けたカワサキが、初の水冷化と先鋭フルカウルのGPZ900R Ninjaで世界最速宣言を謳って以来、カワサキのフラッグシップは頂点パフォーマンスであり続ける宿命を背負った。
その継承でエンジンを1,000cc化、空力特性に特化したフルカウルを纏ったGPZ1000RXを1986年にリリースしたが、ライバルたちの追撃は激しく、それを迎え撃つマシンとして1988年に登場したのがこのZX-10。

GPZ1000RXと外観から明らかに違うのが、このクラスに初投入したアルミのe-BOXフレーム。エンジンを取り囲む部分を湾曲させ、ピボット付近をスリムに収める卵形レイアウトで刷新感が強く海外では人気の新Ninjaとして注目を浴びた。

kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_03
kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_04

エンジンはNinja900以来のサイドカムチェーンで排気量をアップした1000RXをベースに大幅な設計変更を施し、125PS→137PSへとパワーアップ。
シリンダーヘッドを吸気ストレート化でバルブ挟み角が狭まり燃焼室もコンパクト化、キャブレターも吸気のストレート化でセミダウンドラフトになり、エアクリーナーからの通路に角度がつくため高速側のベンチュリーから独立した低速用ベンチュリーを周囲に設け、広範囲に吸気圧を平均化している。
クランクシャフトは1.1kgの軽量化で慣性モーメントはマイナス14%、ピストンとコンロッドの両方で各67gもの軽量化と高回転での優位さとバランスを見直し扱いやすい特性を得る。
その結果、最高速度270km/hと0-400mを10秒5で世界最速を奪還してみせた。

kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_05
kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_06

アルミフレームは4,5kg軽量化した15.5kg、前17インチで後18インチのラジアルタイヤを装着して、軽快な運動性と安定したハンドリングを得ているほか、22リットルの大容量燃料タンクや、格納できるタンデム用アシストグリップに荷物用バンジーフックに小物入れなど実用性への配慮もカワサキらしく、世界最速を求めるユーザーに加え徐々にこのカワサキの姿勢に感化されたライダーにも人気となりはじめた。
またUSモデル(米国向け)ではネームバリューの高いNinjaブランドのイメージを前面に打ち出し、派手なカラーリングでのリリースが続いた。

カワサキのファン層に質実剛健派を増やす!

kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_07

そのツーリングでの使い勝手の良さは、高速での長距離クルージングやタンデムの機会の多さ、さらには丈夫なつくりなど評価の厳しいヨーロッパでZX-10はシェアを伸ばしていた。
イヤーモデルで様々グラフィックのバリエーションを加えるのは、Ninja900から1000RX同様に受け継ぎ、1989年のブルー系に1990年の黒赤のNewグラフィックとカワサキらしいアピールを重ねている。

kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_08
kawasaki_zx-10_zx1000b_20240930_09

とはいえ、フラッグシップでの競争も激しく、1991年に1,052ccへとスープアップしたZZR1100へとバトンタッチされ、998cc時代に終わりを告げるのだった。
ただGPZ1000RX以来の骨太な逞しいボディはZZR1100でも継承され、カワサキの差別化を象徴するスタイリングとして定着し続けていた。