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このバイクに注目
Vyrus
Alyen 988

【ヴァイルス エイリアン 988】走り始めたエイリアン。世界限定20台、2,288万円!

RIDE HI WEBで1年前(2020年10月1日)に報じた、イタリアのヴァイルスが発表した異色のマシン「Alyen 988」が、ついに走り始めた!

Vyrus [ Alien ] | Official PV

エイリアン・クイーンを彷彿させる異形のマシン

映画「エイリアン2」で登場したエイリアンの女王を思わせる、もはやバイクとは思えない大胆なデザインのAlyen 988は、イタリアのヴァイルスを率いる鬼才エンジニア、アスカニオ・ロドリゴ氏の手による。

ちなみにAlyenのスペルは誤植(正しいエイリアンのスペルはAlien)ではなく、社名のVYRUS(ウィルスの意味。本来のスペルはVirus)と同様の、アスカニオ氏ならではの遊び心を持たせた造語だ。

エイリアンの基本構造は、ドゥカティ水冷L型2気筒エンジンを独自のオメガプレートで左右から挟み込み、そこから前後スイングアームが伸びるフレームレス。フロントはハブセンターステアリング機構で、ショックユニットはオーリンズ製TTX40(四輪用ダンパーユニットの名称で、スプリングはエイリアン用に別注)を“横置き”し、リンクとアームによる“プッシュロッド・ツインピボット方式”で稼働する。

そしてハンドルとハブのステアリング機構を繋ぐのは、既存のリンクやクランク状のアームではなく、HWSS(油圧ワイヤードステアリングシステム)と呼ぶナノ粒子の特殊な流体を密封したスチールケーブルを用いた新機構だ。リヤの長大なスイングアームは片持ち式を採用する。
また、オメガプレートや前後スイングアームをはじめ、シートを支える上部フレーム?部分、さらにはステッププレートやペグ類などはマグネシウム合金で作られている。極薄のスポークが目を引くホイールはロトボックス社のカーボン製で、ヴァイルス専用デザインという。
そしてエイリアン・クイーンを思わせるエクステリアは、エイドリアン・モートン(元MVアグスタのチーフデザイナー)のスケッチを元に、ハブセンターステアリングの機能と可能性を追求した造形を与えている。
しかも材質はUDカーボン(ユニディクショナルカーボン)と呼ばれる、引っ張り方向の強度に大きく優れた、単一方向のみに繊維を並べて形成した最新製法のドライカーボン。無塗装の表面を近くで見ると、織り目ではなくアルミやステンレスなどの金属の“ヘアライン仕上げ”のような独特な質感を持つ。しかしメーターハウジングやフロントフェンダーなどには織り目のあるドライカーボンを用いるなど、車両の各所で異なる材質を視覚的にも楽しめるよう絶妙に配置している。

それでは、ついに走り始めたAlyen 988の姿をご覧いただこう!

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市販モデル第1号車はオーナーの好みで独特なピンク色にペイントされた。アスカニオ氏も「Alyenはランボルギーニのスーパーカーと同様に、遊び心が無いとダメ。だから派手な色もOK」と気に入っているという。20年のプロトタイプから、オメガプレートがアルミ切削に変わったり、HWSSのケーブルの取り出しや、ライディングステップの位置など変更点も多いが、基本的な構造やデザインに変化はない

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2020年4月に発表されたAlyen 988のプロトタイプ。マグネシウム製のオメガプレートでドゥカティ1299パニガーレが搭載する1,285ccのL型2気筒“スーパークアドロ”エンジンを挟み込むように搭載。世界限定20台で、プライスは2,288万円。発表と同時に完売してしまった

世界中のヴァイルスファンが集結するミーティングでお披露目

Alyen 988は「World X3 game」と命名したヴァイルスのミーティングで発表された。リミニのヴァイルスの工房に世界中からヴァイルスのユーザーが集まり、Alyen 988のお披露目を中心にファンミーティングを行い、その後にワインディングをツーリングしてホテルに宿泊して、アスカニオ氏やユーザーたちが親交を深めるパーティを開催。翌日はミザノサーキットまで移動してMotoGP観戦を行う豪華なミーティングだ。

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ヴァイルスのオーナーが多く在籍するモトクラブ「レボリューション」のメンバーを中心に、リミニにあるヴァイルスの工房に集合。日本からは総代理店を務めるモトコルセの代表である近藤 伸さんが参加した

想像以上にコンパクト!

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Alyen 988はあまりに特異なデザインゆえの、車両だけ見てもサイズ感がイメージできない。というワケで、ライダーが跨った状態がコチラで、じつは相当にコンパクトで車高も低い。とくにフロントから見た写真を前輪のサイズ(スポーツバイクで一般的な17インチ)でイメージすると、サイズ感がわかりやすい。

濡れても平気!? 質感を楽しむ

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宿泊したホテルのエントランスに駐車したAlyen 988だが、なんと夜間に雨が降ってびしょ濡れに。超プレミアムバイクだけに卒倒モノだが、アスカニオ氏は雨染みでまだらになったシートフレームやスイングアームを指差して「ビューティフル!意図しないこういう自然の現象がエイリアンにこそ似合うんだ!」と言い、まわりの参加者たちもその予想外のコメントをポジティブに納得したという。どこまでもバイクを楽しむ姿勢に脱帽だ

そもそもヴァイルスって、どんなメーカー?

かつてビモータ社で働いていたアスカニオ・ロドリゴ氏が独立し、2001年に興したバイクメーカー。独自にセンターハブステアリング機構を探求し、オリジナルマシンを製作。また小規模な工房ながらMoto2やSBKに参戦するレーシングマシンのメンテナンスを請け負う高い技術力を持つ。世界中にファンを持ち、映画俳優のキアヌ・リーブスなども同社の顧客である。

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VYRUS(ヴァイルス)の社名は、スペルこそ異なるが風邪などの「ウィルス(VIRUS)」が由来。アスカニオ氏いわく「バイク好きは病気みたいなモノ」という想いから命名された

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VYRUSを率いるイタリアの鬼才アスカニオ・ロドリゴ氏。かつてはビモータのスタッフで、現在のビモータ社の社長であり世界初のハブセンターステアリング機構を持つ市販モデル“TESI-1D”の発案者であるピエルルイジ・マルコーニ氏と共にTESI-1Dの開発に携わった人物。遡ること、創設期のビモータ社でマッシモ・タンブリーニ氏と共にフレームを製作していたデルヴィス・マクレッリ氏の工房で働いた経験が、フレーム設計に興味を持つキッカケになったという。素材やリンク機構、そしてスタイリングなど、常人とは一線を画した感性で理想のバイクを探求し続けるエンジニアだ

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984C3 2V

2004年に発表したヴァイルス初の市販モデルで、ドゥカティの空冷L型2気筒エンジンを搭載。当時はカラーリングのみ変更してビモータ社にOEM供給し、TESI 2Dの名前でも販売されていた。細部のリファインも重ね、現在もラインナップ。撮影車は近年のモデルで、エンジンは1,078ccのエヴォルツィオーネ。通常モデルはハンドル部を細いアルミ角パイプのサブフレームで支えるが、この車両はオプションのエアボックスを兼ねるドライカーボン製のモノコックシャシーに変更。輸入元のモトコルセによってエンジン制御をモーテック社のフルコンに換装し、ブレーキシステム等も強化している。ほぼ同じ構成で、ドゥカティの水冷L型2気筒エンジンを搭載した985C3 4V、987C3 4Vもリリースする

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986M2 Strada

ホンダCBR600RRの並列4気筒エンジンを逆オメガプレートに抱く。フロントのハブセンターステアリング機構は他モデルと同様の構造だが、ハンドルとはリンク式ではなくパンタグラフの様な屈曲式のアームで連結される。また前後サスペンションは、アスカニオ氏が独自に考案したショックユニットを横置きに配置するプッシュロッド・ツインピボット方式(Alyen 988も採用する)。車名の“M2”はGPのMoto2クラスの意味で、2015年のスペイン国内選手権に参戦。その公道バージョンが、このStradaだ。撮影車はモトコルセによってブレーキシステムやカーボンホイール、セラミックカーボンブレーキ、オーリンズのTTXショックユニットなど、主に足周りが強化されている

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今回のミーティングで世界中から集まったヴァイルスのユーザー。バイクとしての魅力はもちろんだが、皆がアスカニオ氏のファン。バイクにかける熱い想いとユーザーに対するサービス精神に感銘を受けた人々が集う、“大人のバイク趣味”の理想の姿のひとつだろう

SPEC

Specifications
Vyrus Alyen 988
エンジン
水冷4ストロークDOHC4バルブL型2気筒
総排気量
1,285cc
ボア×ストローク
116×70.8mm
圧縮比
11.3対1
最高出力
205ps/10,500rpm
変速機
6速
フレーム
マグネシウムダブルオメガ
キャスター/トレール
17-24°/84-112mm
サスペンション
F・R=プッシュロッド・ツインピボット
タイヤサイズ
F=120/70ZR17 R=200/60ZR17
軸間距離
1,575mm
燃料タンク容量
11L
価格
2,288万円
協力/ モトコルセ