XT660のビッグシングルをベースにMTシリーズ第2弾がイタリア・ヤマハからリリース!
ヤマハは2004年モデルのXT660がヨーロッパでヒット!SOHC4バルブ660ccの単気筒が、オフ系フォルムながらストリートリーガルな多様性が好評で、いわゆるモタード乗りをイメージさせるスポーツ性をアピールしていた。
そして2005年、この勢いをよりタウンユースな「ロードスター・モタード」として提唱するMT-03を10月のパリショーで発表、イタリアで開発・製造されるモデルとして世界へ向け発売が開始された。
XT660ベースのエンジンは、100×84mmとビッグボア、ドライサンプのオイルタンクをSRX600と同じにエンジン前方へマウント、ダイアモンド・タイプのフレームでエンジン右横にはリヤサスが位置して重心の集中化をはかっていた。
MTシリーズは、当時既に巨大VツインのMT-01がリリースされていて、この「鼓動」コンセプトを受け継ぐミドルクラスという設定となっていた。
ご存じ2018年からの320ccで同名の「MT-03」とは何の脈絡もない。
XT660がオンロードタイヤを装着して、流行りの兆候をみせていたモタード乗りをイメージさせていた流れと、MT-01のスリムな車体ながら2本のビッグサイレンサーが突き出たスタイルとの融合で、XT660よりさらにストリートリーガルをアピールした新進気鋭モデルとして大きな期待を賭けていた。
ロードスター・モタードを提唱したマイノリティさが短命モデルと化した
しかしこのモタード流のカルチャーは、果たして街中を闊歩するバイクとして相応しいと思われるまで浸透できずに過ぎていく。
ミドルクラスとはいえ、スリムさとコンパクトさはXT660より車格を小さく見せてしまい、MT-01デザイン・コンセプトがいまひとつ理解されない状況もあって、カテゴリーとしてどこに位置づけられるバイクなのかをイメージしにくかったようだ。
イヤーモデルでカラーリングやグラフィックで、ポップでカジュアルなイメージも加えられたが、やはり時期尚早といわざるを得ないほど、いま見ると最新バイクとして違和感のない佇まいだが、当時では受け容れにくい印象が定着してしまうことに。
こうしてイタリア・ヤマハでの製造も2009年に終了することになり、期待されたメジャー機種にまで育つことなく短命で終焉を迎えることとなった。
XT660のヒットは、アクティブさと底流に流れはじめたモタード風にラフなライディング・スタイルを街中でアピールするマイノリティさがウケたので、昔からのスクランブラーがカスタマイズされたイメージが先行して人気を得てきた理由を踏まえていなかったことも否めない。
まさにいまデビューしたら受け容れられる、そんなデザイン・コンセプトだった。