バイクの車名をメーカーはどんな法則で決めているのでしょうか?
A.昔はわかりやすくカテゴリーや排気量をアルファベットに振ってましたが、いまはカッコよさや最高峰を象徴するため根拠が薄れてきました
YA-1 125cc 1955
YC1 175cc 1957
YD1 250cc 1957
YDS-1 250cc 1959
最も法則に準じていたのはヤマハ、それも’80年代から曖昧に
たとえば鉄道は車輌にE235系とか形式名があって、それぞれにバリエーション記号も付加され,
ファンならばその形式で識別できたりします。クルマもバイクも同じように、それぞれのメーカーによって車名や形式名があり、昔からのファンならばカテゴリーや排気量が推察できました。
中でもわかりやすかったのがヤマハ。最初の量産バイクがYA-1で、YはいうまでもなYAMAHAを表し、続くAは125ccを意味していました。YB-1は原付2種を超えた135cc、YC-1だと175cc、そして250ccだとYD-1でした。
そしてスーパースポーツになると、YDS-1と250ccであるDの後ろに、SPORTのSが加えられていたのです。
しかし4ストロークの大排気量車が台頭したり、2ストロークスポーツに翳りがでると様相が変わってきました。初の4ストツインをXS-1と名付けたまでは良かったのですが、TX500やGX750と怪しくなり、2ストの起死回生を賭けたRZ250、その発展型でTZR250とレーシングマシンの車名とミックスがはじまり、4ストスーパースポーツも現在へ繋がるFZ750、FZR750、そしてYZF-R1へ辿り着くと、最近ではR7などバリエーションが再度想像できるルールに則りはじめてもいるようです。
ホンダも当初は法則があったものの革新技術アピールで切り崩され スズキやカワサキではニックネームで名を馳せたベストセラーも
CB750F 1979
GS750 1976
Z1 1972
Ninja H2
VFR750R(RC30) 1987
FZR750R(OW01)
ホンダの限定生産レース仕様マシン、VFR750R(RC30) 1987 とヤマハの同じようにレース仕様の限定マシンFZR750R(OW01)の2台は車名と共にメーカーの開発コードをサブネームとして、ファンはこのRC30とOW01のほうで呼んだ。
ホンダもCが二輪車の形式名、C72が250ccの実用車でパイプフレームで2気筒2キャブレターとチューンしたスポーツバイクがCB72とBを加える法則でスタートしたのですが、そもそもホンダは例外が多く、規準に沿っていたのはCB750フォアあたりまで。
縦置きVツインをCX(国内向けはGL)だったり、ハイエンドモデルをCBにRを加えたCBRと威勢よくしたりと都度の事情でネーミングされ、直近ではライバルたちの過激さに負けてなるものかとCBR1000RR-Rと3回Rを重ねるとなると、そこまで張り合わなくてもと思ってしまいます。
スズキもルールがあるようで例外のほうが多いメーカーです。GS750が4バルブになるとGSX750となり、レーサーレプリカにはGSX-R1000といかにもな命名をするいっぽうで、カタナなどの形式名よりニックネームで個性をアピールするメーカーとしてのオリジナリティを大切にしてきました。
そしてカワサキ。トップガン マーヴェリックでまた名をあげたNinjaH2も、ルーツは2ストローク3気筒のじゃじゃ馬マッハIIIの750cc版につけられたH2に由来しています。Ninjaのニックネームも、最初にアメリカでヒットした250ccA1にサムライを命名した流れを受け継いだものです。
ただどれも、ZやRにXを使うため、お互いが似てくるのは否めません。訊けばZはラスト、つまり最後に出る最高峰を象徴するし、Rはレーシングマシンやレーシーなハイパフォーマンスのイメージ、Xは説明の必要もないでしょうが、チャレンジしている未だ完成していない最新を表す記号として欠かせないとのこと。
そしてメーカーは、折りに触れ勝負マシンとなる重要な存在がデビューするとき、それまでのイメージを壊す、新次元のアピールをしようとそれまでの法則を命名でも打ち破ろうとします。
とはいえ、メーカー側も成功したい一心で命名するわけで、成功を約束してくれそうなZやRにXを使いたくなる気持ちもわからないではありません。
ただ皆さんもご自分の車歴で、最もお気に入りのバイクと車名や形式名の由来は二の次なはず。名車と呼ばれるバイクも然りで、大事なのはそこにそれだけ開発した人たちの思い入れがあるかでしょう。でも車名で売れる売れないは左右される……メーカーは依然としてそこに疑いは抱いてないようです。