誰もが認める名車中の名車であるカワサキZ1も、初代登場からまもなく半世紀。数多存在する機能パーツやリプレイスパーツを的確に選択、用いることで、乗り味を維持し、現代的な走りを手に入れることもできる稀有な一台。
2022年はZ1登場から50年。永く魅力を維持できるのも名車たる条件のひとつ
先輩や兄貴が乗っていた、やんちゃなマンガに登場した、バイク雑誌の名車紹介で知った……。世代によって憧れるきっかけは異なるだろうが、カワサキのZ1(または国内仕様のZ2)はビッグバイクのレジェンドであり続け、その人気には一片の陰りもない。車両価格は年々向上し、もはや旧車という一言では語れない存在になっている。
1990年代初頭には豪快なカスタムが流行し、今世紀は緻密にモディファイされたマシンも数多く登場。また近年は、ノーマル然としたスタイルも好まれている。
……とはいえ、初代Z1が誕生した1972年から、まもなく半世紀を迎える。当時から乗り続けるライダーはさすがに少ないだろうが“カスタム済み、オーバーホール済み”で入手したZ1が、そこからすでに10〜20年経過……というユーザーは多いだろう。また現在市場に出回るZ1も、そういった個体が増えている。
現代のパーツ&技術でアップデート
じつはこのZ1もそんな1台。千葉のカワサキ正規取扱店MSセーリングに、相応に手の入ったカスタム車をオーナーが持ち込んだ。それを旧車から最新モデルまで深い知見とノウハウを持つ同社代表の竹内義博さんが、徹底的に手を入れてリフレッシュしたのだ。
高い人気を誇るカワサキのZ系は、いまだ国内外のカスタム/リプレイスパーツが豊富。また、川崎重工業がシリンダーヘッドの再生産を行う希有な存在だ。
様々なパーツを吟味して選択する知見と、確かな技術を用いれば、Z1の走りと輝きは永遠に褪せない。それもこのバイクの名車たる所以だろう。
ライダー側に傾く2眼メーター。オーソドックスに感じるが、Z1より前は平坦に配置されていた。このメーターはリプレイスパーツ
現代のバイクにない細身のスタイル。最新パーツを纏ってマッシブは雰囲気を強調。空冷エンジンならではのシンプルなスタイリングがよい
キャブレターはFCRのヨシムラMJN仕様。Zのエンジンに現代的なレスポンスを与える
空冷エンジンはオーバーホールされ、美しくリペイント。手曲げのエキゾーストパイプが美しいチタニウムのエキゾーストはビトーR&D製
存在感のあるエンジンから伸びるマフラーや、ダブルシートから続く長いテールカウル。ちょっと旧いバイクは、このアングルからの眺めが映える