パフォーマンスバイクからダウンサイズを考える前に乗っておきたい選択肢!
三度のメシよりバイクが好きで、スーパースポーツや超個性マシンに乗ってきた熱きライダーにとって、60歳を迎え反射神経の衰えや疲労感を覚えたりすると、長く乗るためにはパワーが高くない、つまり排気量をサイズダウンする時期を意識するはず。
しかしその前に、トラディショナルツインが実はハンドリングやエンジン特性など、電子制御も含め乗り込むと思わず狂喜するほどコーナリングの醍醐味が大きくなっているのをご存じだろうか。
トップスピードやバンク角を求めない、しかし思わずキャリアがあるからこそ没頭できる世界が待っているのだ。
トラディショナルスポーツで、ベテランが不満に思うのがデザイン優先で肝心の走りのパフォーマンスを曖昧に感じてしまうこと。
ツインスポーツは、エンジン位置から後輪の設置点、そして大事なアライメント設定で、まさに人車一体のコーナリングが醸し出される。
これはその道100年のノウハウによる職人ワザとも呼べるディメンションなくして不可能だ。
トラディショナルなバイクというと、テクノロジーではなく雰囲気重視を謳うしかできないメーカーには真似ができない。
こんなカーブの連続を、素早い切り返しで深くバンク……などせずに、向き変えポイントをコーナーのどのポイントへ決めていくか、刻々と変わるシチュエーションに勘ドコロを押えた対応で適確に曲がっていくスマートさこそベテランの妙だ。
それにはそれが可能なバイクを選ぶ必要がある。
コーナーをバンク角ではなくアプローチの妙で楽しむ醍醐味!
そしてそして大事なのは、衰えた感性が陥るミスをリカバーできる能力が高いこと。
そこはあらゆる組み合わせのシチュエーションに対応してきたノウハウが活きる。
同時にリカバリーで必要な瞬時のレスポンスで、車体のバランス補正を可能にするスロットル・レスポンスの良さが需要な鍵を握っている。
さらにトラクションの路面を蹴って旋回力を安定プラス力強さを両得する設定が、この本格派トラディショナルツインは優れている。
そもそもツインに馴染みがなく、ましてやBMWやモトグッツィのように縦置きクランクシャフトとなると、違和感だらけで想像もできないかも知れない。
しかしキャリアのあるライダーなら、200パーセント間違いなく、知らなかった時間を後悔するほど瞬く間に馴染み、醍醐味にハマるのでご心配なく。
そういえば、このジャンルのバイクで、ツーリングだけでなくサーキット走行も楽しめるのはご存じだろうか?
バランスの良いハンドリングと、中速域がメインの明確なトラクションを駆使すると、水を得た魚という表現がピッタリの心地よい泳ぐような走りが楽しめる。
スポーツのポテンシャルは、こうした次元の異なる領域にもあって、むしろリスクなく楽しみたいベテランには、難しいマインド管理などせずに浸れるわかりやすさが魅力といえる。
次にダウンサイズしても熱く楽しめるトラッドシングルが待っている!?
いやいや、既に車格の大きさや重さに手を焼くようになっていて、残念ながらダウンサイズは待ったなし。そんな決意も明確なら、中型クラスにもトラディショナル・スポーツが存在していて、代表格のロイヤルエンフィールドのスグレぶりは半端なく高い。
間もなく市販される予定のトライアンフや、まだ輸入元の決まっていないBSAなども、乗ってはいないがエンジン位置との関係など車体のアライメントを見ても、レベルの高さは見てとれる。
デザインスケッチで組み立ててしまった、開発期間の短い中型バイクは、ベテランにはお奨めできない。
ライダーにキャリアがあればその優れたポテンシャルを引き出すことが可能で、ライダーがまだ途上のテクニックであれば優れた能力のバイクが導いてくれる……正しいトラディショナル・バイクとはそういう質のモノだ。
喰わず嫌いが何より勿体ない。ぜひ試乗されてご自分の感性で確かめられるよう強くお奨めしておく。