アメリカ最古のメーカーが、ワイルドな感性のスポーツ性で甦る
日本では馴染みのないダートトラッカーでも大きく逆ハンを切るシーンの野性味には誰でも惹きつけられる

インディアンのルーツを辿れば1901年。アメリカ最古のメーカーだ。ライバルのハーレーも長い歴史の中で大きく浮き沈みしてきたが、インディアンは何度か消滅までしながら繰り返し甦ってきた。
最新世代のインディアンは、大型クルーザーの頂点クラスをターゲット、エンジンも2008年に1720ccVツインへと刷新、最新では1133ccから1890ccまでをラインアップ、各カテゴリーの個性を支えている。
そのインディアンから2017年、ダートトラッカーFTR750にインスパイアされたスカウトFTR1200カスタムがEICMA(ミラノショー)でデビュー、ベースとなったFTR750は実際に全米のフラットトラックレースへ参戦し、初年度からタイトルを獲得する活躍ぶりをみせた。
このパフォーマンス実績を礎に、FTR1200はフラットトラッカーのイメージでスポーツ性を強調しつつ、タウンスポーツとしても相応しい特性と電子制御を纏い、他にはない新しい感性のスポーツバイクとして、確実にシェアを拡げつつある。
ヨーロッパメーカーのような200ps、300km/hの超スーパーなスポーツ・カテゴリーとは一線を画したアメリカン・スポーツ。最新モデルのあまりのハイパーぶりにさすがに手が出せなくなってきた大人のユーザーは、このワイルド且つ都会的な絶妙にバランスがとれたスポーツ感覚に、多くが見事にハートを射貫かれたようだ。
電子制御の充実ぶりも、IT先進国アメリカならではのセンスの良さを漂わせているあたりもさすがだ。
そのFTR1200Sに、カーボンパーツやLEDによるカスタマイズを施したFTRカーボンが加わった。
もとよりエンジンからフレームまで、機能美を追求した美しいデザインだが、これにカーボンでさらに差別化をはかったクオリティ感の高さは、ヨーロピアン・スポーツとの選択で躊躇していたユーザーに決断を迫ったに違いない。
新しい感性のアメリカン・スポーツも、さらなる完成度へと留まることのない進化を続けている。

グローブをつけたまま操作可能なタッチパネルで、ディスプレイの種類は多様。自分で使いやすい必要最小限に割り切れるデザインだ

水冷60°Vツインの300度~420度でパルシブに刻むビートは、低い回転域だと刻み方が明確、高回転域ではいつの間にかスムーズでサウンドだけ個性を残す

そこいら中にカーボンを纏う男の羨望クオリティ。燃料タンクはシート下でニーグリップするのはダミーカバー

前後のタイヤ・パターンは敢えてダートトラックのレース専用パターンが採用されている。パワーをかけ続けると摩耗が早くなるのは明らかだが、適度に緊張せずにスライドしやすいのもこのパターンならではだろう

フルLEDのライトが醸し出す独特の顔つき。周囲のカーボンと相まってスペシャルな感性の演出はさすがアメリカ
SPEC
- Specifications
- FTR Carbon
- エンジン
- 水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒
- 総排気量
- 1,203cc
- ボア×ストローク
- 102.0×73.6mm
- 圧縮比
- 12.5対1
- 最高出力
- 124.7ps/8250rpm
- 最大トルク
- 120Nm/5900rpm
- 変速機
- 6速リターン
- フレーム
- スチールトレリス
- 乾燥重量
- 228kg
- キャスター/トレール
- 26.3°/130mm
- サスペンション
- F=テレスコピックφ43mm倒立
R=スイングアーム+モノショック - タイヤサイズ
- F=120/70R19 R=150/70R18
- 全長/全幅/全高
- 2287/850/1297mm
- 軸間距離
- 1524mm
- シート高
- 853mm
- 燃料タンク容量
- 13L
- 価格
- 248万8,000円~
RIDE HI 創刊号でもFTR Carbonについて掲載されています!
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