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このバイクに注目
SUZUKI
BANDIT 400
1989~1997 model

BANDIT400が目指したレーサーレプリカとは別次元の前傾セパレートハンドルにロングタンクのスーパースポーツ!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

サーキットが舞台ではない伝統のスーパースポーツに洗練された息吹を!

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BANDITといえば、スズキのネイキッドスポーツの代名詞。そのラインナップは250から1250まで幅広く展開されていた。
そのBANDITと名乗る最初のバイクが、1989年にリリースされたBANDIT400。
折りしもネイキッドブームの火付け役となったカワサキZEPHYR(400)がデビューしたのも同じ1989年。
カウルのついたレーサーレプリカに対し、カウルを装着していないバイクをネイキッドと呼ぶようになったのはこの頃より後のこと。
つまりBANDITはレーサーレプリカが台頭する以前に、スーパースポーツと呼んでいたカテゴリーのNewモデルだった。
その何よりの証拠が、真横から眺めると一目瞭然のライディングポジション。

レーサーレプリカと変わらない長めの燃料タンクで、ハンドルも低いセパレートでかなり前傾が強い姿勢となる、紛うことなきスーパースポーツだ。

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このライポジは、もちろんワインディングを右に左にとコーナリングの醍醐味を味わうためのもの。
個性的なデザインにみせているφ38.1mmのメインパイプのフレーム構成は、ステアリングヘッドを強固に支える取り回しで、スイングアームピボット部分を鋳鉄パーツによる剛性を高めた設定と相俟って、ダウンチューブのないダイアモンド・タイプの強靭さが伝わってくる。
キャスター角25°30'とトレール100mmのアライメントは、GSX-R400とは異なりクイックさより旋回安定のほうを優先、1,430mmのホイールベースも曲がりはじめればグイグイとコーナリングを楽しませてくれる。
GSX-R400エンジンを中速域寄りのチューンで、トラクション効率の高い「開けて曲がる」乗り方を存分に発揮できる。
ただBANDITはスーパースポーツ定番のスパルタンな佇まいとせず、スポーツバイクを慈しむ美しさが漂う、感性豊かな新次元スポーツをもうひとつの柱としていたのだ。

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そのためタンクやシートボディのカラーリングを、美しく曲げられたパイプフレームにも使う、お洒落なワントーンにまとめる魅力的なルックスで、ひと際センスのよさを漂わせていた。
しかもパイプのアップハンドルにせず、前傾気味のセパレートハンドルカフェレーサー的な雰囲気を醸し出し、低いハンドル位置とガソリンタンクが干渉するため、フロント側にマイナス曲面の「逃げ」をつくり、これをデザインの特徴とする斬新さ。

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このコンセプトに基づき、デビュー後のマイナーチェンジで展開されたカラーリングも個性的なコンビネーションで、より一般的なポジションとするためアップハンドルがコンチネンタルハンドルと呼ぶセミアップなどバリエーションも加わったが、どれも洗練された美しさに包まれていた。
またロケットカウルを装備した、カフェレーサーへカスタマイズしたようなLimitedバージョンも追加され、レトロな雰囲気とグラフィックの新しさとの融合が、バイクの楽しみを拡げるイメージと共に個性を好む層に人気を呼んでいた。

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またBANDITはその後1991年に、VCエンジンの搭載という大きな進展があった。
これは各気筒に、低回転域用のタイミングが遅くリフト量も少ない低速専用カムと、高回転域専用にセットしたタイミングとリフト量の大きなカムを2つ配置し、回転域によって切り替えるという革新的で高度なメカニズム。
ホンダの2バルブと4バルブを回転域で切り替えているのとは全く異なる方式。
このVCエンジンはDOHCのふたつのカムカバーが赤くペイントされ、フレームの間から確認できるという粋なはからいで、オトナ向けのコンセプトを貫いてみせた。
そうした感性を大切にする姿勢は、1997年の最終モデルまで変わらないまま守り抜いていたのだ。