フラッグシップはスポーツツアラーの時代にスズキはトラディショナルな雰囲気を選択!
1976年のGS750で初の4ストロークDOHC4気筒で追撃を開始したスズキ。1978年にはGS1000でビッグバイク頂点クラスでも肩を並べ、1980年に4バルブ化TSCCでGSX1100ccエンジンの投入、さらには1981年のGSX1100S KATANAのヒットと順風満帆!
この頃、アメリカでは超大型のグランドツアラーが流行り出したの対し、ヨーロッパでは高速道路網が整備されたこともあって長距離を意識したスポーツツアラーのニーズが台頭してきた。
この流れにヤマハはFJ1200をリリース、対抗するスズキからGSX1100EF(仕向け地によって4バルブ化にもかかわらずGS1100EFとXがつかないモデル名も存在)が登場した。エンジンは従来の70mm×66mmの1,074ccから、74mm×66mmの1,135ccへとボリュームアップ。
そして注目を集めたライバルと決定的に異なるのがカウルのデザインだ。
エアロダイナミクスを意識した流麗なフォルムではなく、ちょうど同じ頃フラッグシップとして人気だったホンダCB1100Rのロケットカウルがスポーツ性をアピールする感性を採り入れ、大径の丸形ヘッドにロケットカウル風のフォルムとのコンビネーションとしたのだ。
最新のスポーツツアラーでありながら、このトレディショナルなフォルムに漂うどこか男気なスポーツ感覚で、スズキはBMWが主流だったこのカテゴリーで存在感を示すことに成功。
同じ頃、国内モデルではご覧のGSX750Eをリリース、角断面のダブルクレードルフレームなど、基本骨格が同じながら、海外向けには雰囲気の全く違う製品づくりを目指していたのがわかる。
海外マーケットのニーズに細かく対応する製品づくりは1980年代前半から
このGSX1100EF(GS1100EF)が生産された4年間、カラーリングやハーフカウルのバリエーションなど仕向け地によって異なるニーズにスズキは細かく対応。
最近のミドルクラスを中心に、ヨーロッパでニースの変化にもよく対応してファンを確保している海外では定評のスズキらしさはこの頃からはじまっていたのだ。
ただこのスポーツツアラーの台頭はその後さらに本格化、スズキはそのイニシアチブを獲るべく高さを速度域で任意にライダーが変えられる電動スクリーンを装備したGSX1100Fを1988年からリリース。
そのフォルムもいかにもエアロダイナミクスな曲面構成とするなど、雰囲気をガラリと変えていた。
こうしたスズキのニーズへ細かく対応する姿勢は、実用性をシビアに問うヨーロッパのライダーに浸透していて、最新のVストロームの変遷と根強い人気に象徴されている。
最近のホンダやヤマハの具体的なユーザー象をイメージしにくい、イメージ優先でフォルムを構成しているのとは好対照だ。