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このバイクに注目
SUZUKI
SW-1
1992model

スクーターではない超レトロスタイルのスズキSW-1!【このバイクに注目】

Photos:
スズキ

東京モーターショーへ参考展示された3年後に商品化リリース!

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1992年にスズキからデビューしたSW-1は、さすがにここまで異様さを纏うと、当時も街中で滅多に見かけなかったが、偶然でも目に入ると「SW-1だ!」と認知度は高かった。
そもそもは21世紀へ向けた商品開発運動「東京クリエイティブ」に呼応したのがはじまり。
その後に1991年の東京モーターショーに参考展示され、猪突猛進してきた1970年代から1980年代への反動で「緩さ」に心惹かれた時代性もあって、意外なほど評判になったのに気を良くし、実際の商品化へ開発がスタート、ただ製品としてのリリースには3年以上を費やしていた。

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この超レトロなカバードスタイルは、1950年代に英国のアリエルやベロセットなどが流行らせたレトロモダンの流れで、実はスポーツバイクメーカーのトライアンフでさえ、シートから下をカバーで覆い後輪が見えないモデルを加えたほどメジャーなカルチャーでもあったのだ。
SW-1はその当時のスタイルを、さらに進化させた斬新さと丸みに優しさを讃える絶妙なバランスで、世界から注目を浴びていた。

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カバーの下には1982年からのDR250Sベースの単気筒エンジンを搭載していたが、駆動を静粛なベルトドライブとするなど専用開発され、フレームに至ってはこの外皮を支える凝った形状で、さぞや大変だったろうにと思わず口にしてしまう苦労の後が滲んでいた。
ただここまで専用l開発でコストもかけた結果、688,000円と当時はひとクラス上の400ccどころか大型バイクが買えてしまうほど高価。
さすがに手が出ないとあって、カタログには3年ほど存在したが実質初年度で結論が出されていた。

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因みにこのDR250Sベースのエンジンは、後に2004年あたりのST250にも転用され、そこでもSW-1よもう一度のデザインや、ボーイズレーサー風カフェスタイルと、英国ルーツの異文化の薫りを漂わせていたのがスズキらしい。
マイノリティのリスクに屈しないメーカーには、相応の夢を育む素地が耕されている気がしてならない。