ライフスタイルとして旅バイクの行動範囲が拡がったヘビーユーザーをターゲットに新機種を開発!
スズキでVストロームといえば、そのデザインからして世界中のメーカーがラインナップしているアドベンチャー系のカテゴリーをイメージするだろう。
しかしVストロームの最新デザインは、パリダカなどオフロードも走れる道を選ばないルックスとなってからまだ10年も経っていない。
そもそもはオンロードのツーリングバイクで、ヨーロッパをはじめ旅バイクが国を越えて様々な旅路を駆け抜ける、そうした使われ方を意識した新機種開発がコンセプトだったのだ。
エンジンはスーパーバイクを目指していたTL1000Sの、水冷DOHC90°Vツインがベース。
コンパクトなDOHCとするチェーン+ギヤ駆動のヘッドまわりも受け継ぎ、車体もアルミフレームという贅沢なスーパースポーツ仕様とあって、車重は207kgしかない素性の良さ。
そしてフロント19インチのツーリング使用を前提にするスペックで注目を浴びた。
Stromはツーリングバイクの本場でもあるドイツ語で「風の流れ」を意味している。このスズキの取り組み方に、実は多くのライダーが説得されていったのだ。
さらに旅バイクとしての進化で独自の牙城を築く!
スクリーンこそ上に立ったフォルムだが、車体はスリムなVツインを活かしコンパクトで扱いやすい。
最大出力は72kW(98ps)/7600rpmで、高速巡航からさらなる加速も得意なパワーフィーリング、それでいて最大トルクが101Nm(10.3kgm)/6400rpmと中速以下を重視した設定で、街中でも乗りやすく「速い」とすぐ評判になった。
当初は旅の装備が豊富なヨーロッパに、標準でケースなど敢えてつけていなかったが、当然の長旅仕様が加えられ、こうしたパッケージも強みとなった。
2002年モデルから2013年まで、様々な改良が加えられカラーリングも多くのバリエーションが毎年のようにリリースされ、V-Stromは着実に定着していった。
ミドルクラスへも拡充してアドベンチャー系の先駆けとしてお馴染みのVスト・フィルムへ進化!
実はSV650系がヨーロッパではいつの間にかベーシックスポーツとして、メジャーな位置づけを占めるまで人気となっていた。
そのため当然650でもV-Stromへの流れが強まり、日本メーカーにあって大きなシェアを獲得してもいたのだ。
650でもヘビーな旅仕様が加えられ、V-Stromの旅イメージは不動のものとなっていった。
そうした経緯と、BMWをはじめパリダカールのイメージを旅バイクへオーバーラップさせたデザインを各社が採用するようになり、スズキも本来はDR-Bigなど、ビッグシングルでのチャレンジで名を馳せていたこともあり、2014年からオフロード的な「くちばし」フェンダーをフィーチャーしたルックスへと変貌、さらに圧倒的な存在感を漂わせることとなった。
ただそもそもの、ヘビーなツーリングをするライダーのニーズへ、細かな対応を積み重ねてきた強みがあってこその高評価。
ライダーに寄り添うスズキのイメージは、かなりの信頼度を獲得しているのは間違いない。