スーパーバイクの最高峰であるV4Rのカウルを取り去り、ストリートファイター化。そのスタイリングのまとめ方は見事
221psの強烈ネイキッド!
ストリートファイターV4R……ドゥカティにそんなラインナップはないじゃないか、と思った方は鋭い。このドゥカティがラインナップに加えそうな1台をさっそく制作してしまったのがモトコルセだ。
ベース車両はV4R。V4Rは市販車の最高峰レースであるSBKのホモロゲーションのために生産されるスーパーバイクシリーズの中でももっともレースに特化したモデルだ。
排気量が小さいRの方がハイパワー⁉︎
そのスペックをパニガーレV4Sと比較してみよう。
パニガーレV4Sのパワーは214ps/13,000rpm、乾燥重量/174kg。
V4Rのパワーは221ps/15,200rpm、乾燥重量/172kg。
ストリートファイターV4Sのパワーは208ps/12,750rpm、乾燥重量/180kg。
排気量はパニガーレV4SとストリートファイターV4Sが1,103cc、V4Rが998cc。
排気量が小さいのにV4Rの方がハイパワーなのは、それだけレーシーな味付けになっているから。最高出力を発生する回転数にも注目していただきたいが、圧倒的に高回転型なのだ。まさにMotoGP直系のV4エンジンと言って良いだろう。
また、Rエンジンはレーシングマフラーを装着することで234psを発揮させることも可能!
価格はV4Sが347万2,000円、V4Rが463万4,000円。
ディテールにカーボンパーツなどの差異はあるが、Rのエンジンはとんでもないコストがかけられているのがよくわかる。ちなみにストリートファイターV4Sは280万9000円だ。
ちなみにこのストリートファイターV4Rは545万円(カーボンホイールやモトコルセオリジナルパーツはオプション)だ。
馬力の数値以上に、フィーリングが異なる
「やっぱりRのエンジンって特別なんです。こんなエンジンを市販化できるメーカーはドゥカティだけ。まずはスタンダードのストリートファイターに乗って、その完成度の高さに感銘を受け、それですぐにストリートファイターをRスペックで走らせたいと思ったんです」とモトコルセ代表の近藤さん。
僕も何度かV4Rに試乗しているが、このエンジンは本当に凄い。「これ売っていいの?」と思うほどレーシー。ブリッピング時からピックアップが鋭く、実際に走らせてもいかにもエンジンの圧縮比(実際は両車14対1で同一)が高い感じ。そのレスポンスの良さはいつものコースが狭く感じるほど別世界。
しかもただ速いだけでなく、一発一発の爆発が明確でとても気持ちが良い。それは「これぞドゥカティ」と感動できるフィーリングである。
走りを想像するだけでヤバそう……
そんなハイパフォーマンスエンジンを持つV4Rをアップハンドルにして大丈夫なのだろうか?
単純に考えたらフロント荷重が減って、いくら電子制御があるとはいえ、ヤバそうだ……。
スタンダードのストリートファイターV4Sは加速時の安定感を狙ってスイングアームを延長。ホイールベースをV4Rより17mm延長している。
ネイキッド化に合わせて前後サスペンションはバランスを変更されており、さらにカーボンホイールなどの採用で大幅な軽量化がされているが、ホイールベースは短いままだ。
果たしてその乗り味とは……。
Vol.2では、そのインプレッションをお届けしよう!
外装パーツはストリートファイター純正。ステーなどはモトコルセで制作して装着している。まるで純性のように違和感なくR仕様に見せるデザインはさすが
ハンドルはリゾマ製。ハンドルクランプには車体センターにナビやGoProをマウントできるユニバーサルマウントシステムを搭載。何も使用しない時は、ご覧のDBTボックスナットでハンドルマウントをスッキリと見せることが可能(これらのパーツはオプション)
片持ちスイングアームにBST製のカーボンホイールが迫力のディテールを約束。ホイールセンターにはスライダーを装着(これらのパーツはオプション)
モトコルセのキメ細かさが際立つディテール。ライセンスプレートをコンパクトにまとめつつ、上品さを忘れない。ウインカーの大きさや置く位置にもこだわる。ライセンスプレートを装着するボルトもチタン製だ(これらのパーツはオプション)