ライダーを威嚇するようなスタイリングだがその懐は深い。もちろんエンジンを回せばどこまでもワイルドになるが、そのギャップも楽しみたい
ハイグリップタイヤで待望の全開!
さすがに筑波サーキットのコース1000では全開にできなかった。そのストレスから僕はモトコルセの近藤さんに袖ケ浦フォレストレースウェイでの試乗をお願いした。
前回の試乗時のタイヤはピレリ製スーパーコルサV3。いわゆるパニガーレシリーズのスタンダードだったが、今回は近藤さんがピレリ製ディアブロスーパーコルサのSC1を履かせてくれた。SC1はいわゆるイベントレースなどで使うハイグリップタイヤ。感謝しかない。
とはいってもまずはスポーツモードから。クイックシフトを使いながらまずは中速を繋いで加速。丁寧にタイヤを温めていく。アベレージが上がってもハンドリングは馴染みやすく、はっきり言ってスタンダードのストリートファイターよりも軽量コンパクトで乗りやすい。
BST製カーボンホイールでバネ下重量を大幅に軽量化。マスが集中しバイクとの一体感がとても高い。それがペースを上げるほど明確になっていく。だからもっとスロットルを大きく開けていきたくなるのだ。
ペースを上げていくとトラクションコントロールの介入が大きくなってきた。
一度ピットインしてモトコルセのメカニックを務める伊藤さんにサスペンションを少しだけ調整してもらう。僕のフィーリングを理解してくれ、そのアドバイスも的確だ。ショップのスタッフとこういったコミュニケーションが取れると、安心感が増すのは気のせいではないだろう。
身体とタイヤ、そして気持ちも整ったので、レースモードにして再びコースイン。
パニガーレより速いかも⁉︎
スロットル操作に対してこれほどリニアに反応するリッタークラスのエンジンを僕は知らない。そのフィーリングはペースを上げて行っても変わらず、どのギヤでも次のブレーキングポイントまで怒涛の勢いで加速していく。
レースモードにするとエンジンが豹変する。腰を大きめにズラして全身を使ってストリートファイターV4Rに挑む。
スタンダードのストリートファイターのシートはコンフォートな設定だが、このストリートファイターV4RのシートはV4Rのまま。スーパーバイク直系だから腰をズラすほどホールド性の高さが際立ち、荷重ポイントをコントロールしやすい。
猛烈な加速を見せるが破綻してしまいそうな不安は皆無。それどころか攻めるほどに応えてくれる懐の深ささえ感じさせてくれる。アップハンドルのネイキッドでハイグリップタイヤをきちんと使いこなせる感覚はとても新鮮だ。
モトコルセは、なんてワイルドなバイクを作ったんだろう−−。たまらなく楽しい。
ちなみに、このカスタムメニューではパニガーレV4Sをストリートファイターにすることも可能だ。すでにパニガーレオーナーで「セパハンはちょっと……」と思う方はモトコルセに相談してみるのもアリかもしれない。
ストリートファイターV4RのV4Rベースの新車コンプリート価格は545万円(カーボンホイールやモトコルセオリジナルパーツなどはオプション)。唯一無二の世界観が手に入る。外装パーツはドゥカティ純正を使用しつつ、違和感なくフィットするようステーなどはモトコルセが制作。これが数々のコンプリートマシンを制作してきた実績だ
V4Rのシート形状がスポーツライディングにフィットする。荷重コントロールがしやすく、どこまでも積極的に攻めてみたくなる